秋の企画展ふたつ | 日本玩具博物館

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学芸室から 2012.09.03

秋の企画展ふたつ

暑さ寒さも彼岸まで―――。お彼岸を迎えて涼風が立ち、うろこ雲の空に秋祭りを想う頃となりました。日本玩具博物館の周囲に広がる稲田では、黄金の波の上を赤とんぼが飛び交い、あちこちで稲刈りも始まっています。猛暑続きの夏でしたが、皆様、疲れを出されていませんか?

1号館では夏の企画展「幻の神戸人形」を好評理に終え、「世界の太鼓と打楽器~形と音色~」と題する秋らしい企画展をオープンいたしました。民族楽器と発音玩具の世界を分け隔てすることなく、その形態によってグループを分け、展示しています。形や素材のユニークさを目で楽しんでいただくほか、展示室には、ベトナムの子ども用パーカッションセットやインドネシア・ガムラン音楽の鉄琴の玩具、フィリピンの竹のササラに、モロッコのゴブレット型ドラム…などなど、手にとって世界の音に触れていただくコーナーを設けておりますので、それぞれの楽器を打ち鳴らしてユニークな音色をお試しいただけます。小学校からの校外学習の季節にあたり、毎日のように子どもたちの楽しげな即興演奏が響く館内です。

また、先日の休館日には、学芸スタッフ揃って、日本モンゴル民族博物館(豊岡市但東町)へ、「ちりめん細工の世界」と題する企画展準備に出かけておりました。日本・モンゴル民族博物館は、モンゴル国の歴史と文化を豊富な実物資料展示や体験学習を通して広く紹介するユニークな博物館です。モンゴルについての常設展示を展開される一方、地元の歴史や工芸、産業などに関しても、企画展を通して幅広く扱っておられます。こちらの博物館からの依頼で、企画展をお持ちするのは、今年で4回目。

「え? モンゴル博物館で、ちりめん細工とは、どうして?!」と驚かれそうですが、但東町は古くから続く丹後縮緬(ちりめん)の産地。縮緬の本場で開く「ちりめん細工展」には、思いがこもります。モンゴル博とは、何度もお仕事をご一緒しているので、すでに館長スタッフぐるみ、博物館ぐるみのお付き合い。一日がかりで、楽しい展示に仕上がりました。

精錬前の白生地を織り続けてきた産地ゆえ、それが染められ、さまざまな形となって暮らしの中に生かされている様を見る機会というのが、逆に多くはないそうです。今回、華やかな手工芸の世界をご覧になられた縮緬産地の方々が、どんなふうな感想をお持ちになられるかのかがとても楽しみです。行楽の季節、秋の味覚のもりだくさんな但東町へ、この機会にどうぞお訪ね下さいませ。

(学芸員・尾崎織女)



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