ブログ
blog椿、利休梅、花桃・・・・ 春の花の宴が始まりました
■春休み中は大勢の子どもたちが両親や家族と共に来館して、館内はいつもよりも大賑わいでした。東日本大震災の悲惨なニュースが連日報道される中で、来館して心が癒されたという方も大勢ありました。16年前もそうでした。ここに来て、やっと自分を取り戻した気がしましたと、被災された大勢の方から感謝の言葉をいただきました。落ち込んだ入館者は震災の翌年には大幅に増えて6万人もの大台に乗りました。日本玩具博物館に行けば心が癒されると口コミで広がったのでしょうか。日ごろから当館は、来館者から「心が癒される博物館ですね」と、言葉をかけられることが多いのです。
■「加東市と神戸市から来ました。レトロな玩具の魅力に感動しました。そして新しい発見にとても新鮮でした」「ミニチュアと時代の懐かしさに感動してしまいました。日本の技のすごさに触れ、日本人でよかったと思いを募らせることができました 。庭の椿、花々にも感動の一日でした」「メッチャ楽しかったです。また来たいです」と、館内に置かれた感想ノートには、来館した喜びの言葉が、子どもや大人たちから沢山寄せられています。
■さらに来館された方から、「展示だけでなく庭などの雰囲気も最高です。遠方から来た甲斐がありました」と嬉しい言葉をよく耳にします。当館の白壁の建物に囲まれた中庭は1985年の3号館の建設にあわせて、近くの庭職人の方に手入れの行き届いた庭でなく、自然のままの庭にと私の考えを申し上げて造っていただきました。
■当館の東を流れる小川の水をポンプアップして庭に流しているのですが、3号館北側の溝に落差が作られ、庭にせせらぎの音が響きます。当初、庭にはミツマタや山野草などを沢山植え込んだのですがその多くが姿を消し、ユキワリイチゲや福寿草などこの地にあったものだけが残り、群落もできました。
■変わって大きく増えたのが椿です。現在、椿が沢山美しい花をつけていますが、昨日、花の咲いてる椿を数えたら50本を超えました。名品の椿が多いのは姫路市勝原にお住まいの椿愛好家の小林稔さんが苗木を沢山提供下さったからです。それが20数年で大きく育ち、椿の園とも言われるほどの庭になりました。孔雀椿に黒椿、月光、玉の浦、岩根絞りなど椿の名品が続々と開花しています。
■椿の花ではありませんが、花桃に利休梅、遅咲きの桜の関山、普賢象、霞桜なども4月中旬から下旬にかけて館内や館の周辺に咲き競います。桜の花は30年前と20年前に日本花の会から寄贈いただいたのが大きく育ったのです。私が気にかけてきたのが4号館の2階の窓から見える景色です。4号館の2階は世界の玩具や人形が展示されているのですが四方の壁には1箇所づつ小さな窓があり、そこからは成長した花木の見事な花の数々が目の前に広がります。北の窓からはさくらんぼの花に続いて普賢象、東の窓からは真っ白な利休梅の花、西の窓からは真っ赤な花桃、南の窓からは華やかな関山の花が美しく広がります。関山や普賢象は開花が少し先ですが、利休梅や花桃の花が咲き始めました。新学期が始まると来館者も減り静かな季節を迎えますが、当館は春の花に囲まれ、一年中で一番華やかな花の季節を迎えるのです。
■先月中旬頃から毎日、鶯もやってきて、囀りが美しく響きます。心の癒しもかねて、どうぞご来館下さいますように。
(館長・井上重義)
バックナンバー
年度別のブログ一覧をご覧いただけます。