日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2009.11.22

日本一の虎玩具展によせて

昨日から1号館で「日本一の虎玩具展」が始まりました。予定では約350点を展示するところが、それが500点を超え、会場は まさに虎尽くし。賑やかな展示になりました。
総数では1000点を超える虎コレクション中から選んでの展示となり、選ぶのにも時間がかかり、作業日の17・18日の両日とも終わったのは午後12時前。いつもながらスタッフの熱意に頭が下がります。

タイトルの「日本一」は少し大袈裟ではないかとの意見もありましたが、これだけの貴重 な虎の玩具が並ぶのは国内では他に例がないでしょうし、それに日本一の虎コレクターとされていた長尾さんを顕彰するためにも「日本一の虎玩具展」が相応しいということになったのです。12年ぶりの展示ですが、改めて資料の貴重さを認識し、これほどの資料が一個人の手で収集され遺されたことに感動を覚えました。
とりわけ第2次世界大戦以前に廃絶した、「幻の虎玩具」と言っても過言でない貴重な資料が多いのです。岩手県気仙高田の首振り虎、宮城県気仙沼土人形の虎、東京の西新井の首振り虎、長野県松本の首振り虎、新潟県三条の首振り虎、広島県広島の首振り虎、徳島県徳島の張り子の虎、福岡県柳川の虎車、沖縄県那覇の虎など、恐らく現地でも残る作品が無いか、あっても大変少ないと思います。

長尾さんが収集を始められたのは大正10年、今から88年前です。大阪の神農さんの虎との出会いが契機ですが、その記念すべき虎もコレクションの中にありました。収集品の虎のお腹には、その殆んどに産地名と収集年が達筆な文字で書かれています。「昭和5年 静岡」「昭和12,7 東京亀戸」など、それにより収集時期と産地が判明し勉強になりました。例えば、来年の80円切手のデザインに選ばれた金沢の虎ですが、今のものと昭和初期のものとでは顔の描き方に違いがあるのです。それに虎を北から南へ地域毎に並べると、不思議なことに静岡以東のものには胴に渦巻模様が多く見受けられ、名古屋以西のものは渦巻き模様が全くないのです。
<ブログ「館長室から」>で、達磨が東日本と西日本ではいろんな違いがあり、西日本には鉢巻を締めた達磨が、また目無し達磨は東日本に多いなど、地域による特色があると申しあげましたが、虎にも同じようなことがいえるのです。ご覧いただくと、なるほどと言っていただけると思います。私にはその理由が分かりませんが、東日本文化と西日本文化があるのでしょうか。

当館の日常の活動が評価され、長尾コレクションのほかにもこれまでに貴重な資料をいくつも託されました。それらの評価を高めると共にきちんと後世に伝えることが、今後の大きな課題だと考えています。(井上重義)

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