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館長室から 2008.11.20

出版作業進む2冊の『ちりめん細工』の本

当館の庭もすっかり晩秋の装いにつつまれました。モミジやアメリカハナミズキが紅葉し、ノジギクや山茶花が咲き、美男蔓の実が色付きました。来館者の皆さまからは「展示もよかったけれど、庭にも心が洗われますね」と、再三嬉しいお言葉をいただきます。
しかし、晩秋の静かな季節とは裏腹に、いま、学芸室は熱いです。実は12月に2冊のちりめん細工の本が出版されることになり、その作業が同時進行しているからです。一冊は『ちりめん細工 お手玉とお祝物』(定価1500円+税)日本ヴォーグ社刊。もう1冊は『伝承の裁縫お細工物 江戸・明治のちりめん細工』(定価2800円+税)雄鷄社刊です。

この12月13日から来春の3月8日まで、北九州の小倉城庭園で当館出品協力による「ちりめん細工・春の寿ぎ展」が開催されますので、それに出版が間に合うよう編集作業が急ピッチで進み、最終段階を迎えました。

『お手玉とお祝飾り』は私の担当で、花のお手玉や達磨のお手玉、それに7人の小人のお手玉と、お正月、雛祭り、端午の節句、七五三詣でに因んだ作品など、「四季折々、作って楽しく、贈って喜ばれる」をコンセプトに、楽しいちりめん細工の数々をまとめました。
『伝承の裁縫お細工物 江戸・明治のちりめん細工』は尾崎学芸員が担当し、当館がこれまでに収蔵した江戸期と明治期のちりめん細工の中から代表的な作品を選び、彼女の解説でまとめたものです。約200ページ・総カラーの豪華本です。東京から雄鷄社編集担当者と共に山本正樹カメラマンが来館され、3日間に亘り撮影された写真は格調高く美しいです。写真に付けられた解説文も分かりやすくすばらしいです。ちりめん細工の愛好家だけでなく、日本文化に関心を持たれる大勢の皆さまからも、日本女性の美意識や優れた手の技を知る貴重な文献として喜ばれると考えています。というのも、これまでアメリカやヨーロッパのパッチワークキルトや韓国のポジャギ等、海外の資料が脚光を浴びるのに対し、国内の資料が一冊の本に纏められ、脚光を浴びることがなかったからです。

雄鶏社『伝承の裁縫お細工物 江戸・明治のちりめん細工』のための撮影作業風景

忘れられ消えゆくものを後世にと、30年かけて集めた資料がいま、光り輝こうとしています。大勢の皆様に感動を与え、大きな反響を呼ぶと確信しています。まもなく出版される2冊の本に、どうぞご期待下さい。

(館長・井上重義)

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