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館長室から 2008.06.20

全日本博物館学会第34回研究大会に参加して

当館の西側にある雑木林は一昨年、所有者のご好意で無償で貸していただき、駐車場として整備しました。周辺に紫陽花を植えたのが、梅雨の季節にふさわしく、咲き競っています。

さて去る6月15日(日)、東京の明治大学駿河台校舎で全日本博物館学会の2008年度総会・第34回研究大会が開催され、フォーラム「博物館は社会のお荷物か?―博物館と文化政策―」にパネリストとして出席するよう要請があり参加しました。
フォーラムは午後2時から3時間でしたが、午前9時30分からの研究発表に知人が発表するのを知り、それを聞くため自宅を早朝5時に出発しました。
司会は文化環境研究所所長の高橋信裕氏、パネリストは私の他に浜口哲一(前平塚市博物館館長)、藤野龍宏(埼玉県立歴史と民俗の博物館館長)、雪山行二(横浜美術館館長)の各氏でした。錚錚たる公立館館長と並んで、同じ館長でも、地方の個人立の館長がどのような話をすればよいのか心配でしたが、事前に「私設博物館のコレクションと地域のつながり」について話すよう連絡があり、別紙のような内容で話をしました。他のパネリストの話を聞いて痛感したのは博物館が厳しい環境下に置かれていることでした。1980~90年代、「これからは文化の時代だ」と守るべき資料も充分ないままに自治体は競うようにハコを造りましたが、財政難になると一番に切り捨てられているのが博物館です。これでは博物館で働く人にとっても将来に明るさがみえず、わが国の博物館の未来に暗い影を落としていると思いました。何のために博物館美術館を造ったのか。本来の使命は文化遺産を収集公開し後世に伝えることにあり、それが町の品格を高め、未来への投資にもつながったはずです。

心に残ったのは雪山館長の「博物館は本来、コレクションを充実し、いい展覧会をやること、そのために調査研究をする。それは間違っていないが、横浜美術館も指定管理者制度が導入され、収支を黒字にすることが困難で民間の企業と組んで収入増を図っている。美術館を取り巻く状況が変わり、改革や変身が迫られている」という話でした。市場主義の導入で入館者数や経済効率を追い求めることが最大の課題となり、博物館本来の使命や機能を果たすことが二次的になっている現状が、博物館の未来を暗くしているのではないでしょうか。

出席者から私に対しての質問もあり、終了後も何人もの方から名刺をいただきました。個人立の当館が開館以来一貫して資料収集を継続し、個性的なコレクション群を形成すると共に館内外で展示活用を図り、かたくなに博物館の使命を追い求めてきたことが、こんな時代に新鮮に写ったのでしょうか。

1号館の企画展「ちりめん細工とびん細工」はまもなく終了しますが、期間中この展覧会を見るために東北、関東、九州と全国からご来館下さいました。「来てよかった」とのお言葉も大勢から賜り、昨年のたばこと塩の博物館で当館を知り、当館のHPをお気に入りに入れているという方もご来館下さいました。博物館にとって大切なのは個性的なコレクションの構築にあり、 一朝一夕にはできない息の長い仕事ですが、それが結果として、大きく輝き始めました。(井上重義)

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