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館長室から 2008.05.01

端午の節句飾り展

当館を取り巻くように咲いていた遅咲きの桜も散り、新緑の季節がやってきました。みずみずしい緑の中に黄色い山吹や真っ白なオオデマリの花、地表には可憐なシャガの花が緑の風にそよいでいます。
姫路城周辺で開催中の菓子博は予想を超える大勢の人出で、待ち時間が大変だとの声がでています。当館資料が展示されている昭和のおもちゃ館にも連日5000人を越える来場者があると聞きました。菓子博に行かれた方が当館にも来られていますが、もちろん待ち時間などはなく、みずみずしい新緑の中で存分に楽しい時間が過ごせ、「来てよかった」とのお言葉を大勢の方から頂いています。

季節柄人気があるのが6号館で開催中の「端午の節句飾り」です。近年、3月の女子に因む雛の展示は、町おこしとも連動して各地で盛んに開催されるようになりましたが、男子の行事である端午の節句飾りの展示は女性向ではなく、町おこしに利用するのも無理があるのか、聞いたことがありません。それだけに普段目にすることが少ない、江戸期からの武者人形や鎧兜などが数多く並ぶ当館の端午の節句飾り展は珍しい催しといえるでしょう。

展示総数は35組ですが、点数にすれば約90点。中でも見応えがあるのが幕末から昭和初期までの13組の甲冑飾りです。甲冑飾りは現在、四角い鎧櫃(唐櫃)の上に飾られていますが、大正頃までの甲冑飾りは太鼓胴型の鎧櫃に収められ飾られました。現在では見ることができない珍しい太鼓胴型鎧櫃の甲冑飾りを今回は8組展示しています。実は私自身も10年ほど前までは太鼓胴型鎧櫃の存在に気が付きませんでした。その後、機会があれば収集してきた太鼓胴型鎧櫃が20組近くになり、太鼓胴型の鎧兜が京都や大阪でも作られていたこともわかりました。

モノが集まれば比較検討することができ、いろんなことが読み取れます。博物館にとって資料の充実は最大の課題です。これからも忘れられ行くモノを収集し、資料の充実を図り、来館者の感動を呼び起す展示を考えています。

(館長・井上重義)

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