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学芸室から 2017.07.08

<KIITO便りNo.3> 「神戸人形講座」開催後記  

KIITOの「TOY & DOLL COLLECTION」――夏の企画展「神戸人形」には、創始された明治後期の頃から現在までの神戸人形資料300点を展示し、オープン以来、多くの方々に好評をいただいております。

この展示に合わせて6月25日に開催した“神戸人形講座”には、現在の神戸人形作者であるウズモリ屋・吉田太郎氏(神戸市東灘区在住)をお迎えしました。講座では、日本玩具博物館の尾崎織女よりプロジェクターの画像を示しながら、創始期(明治後期~大正初期)、興隆期(大正後期~昭和初期)、再興期(昭和中期~平成初期)とそれぞれの時代を彩った作者たちの作風や販売方法などについてお話をし、一方、人形劇美術家でもある吉田太郎氏より各時代の人形に見られるからくりの特徴について独自の見解を述べていただきました。
また、開港150年記念の神戸人形「船乗り」(150体限定)を製作されるにあたっての創意工夫について、会場へ持参頂いた試作品や小道具、製作過程を示すパーツなどによって詳しくご説明いただきました。

一時間半を超える長丁場でしたが、この小さなからくり人形を熱心に見つめるひとときは、神戸の街に生きた人々や物づくりの歴史に思いをはせる時間でもありました。会場からはみ出るぐらい多くの方々と一緒に、神戸人形120年の歴史とそれらを作り伝えてきた作者たちの世界をみつめて、充実したひとときを過ごさせていただきました。郷土玩具文化研究会、日本人形玩具学会はじめ、ご参加賜りました皆様、本当にありがとうございました。

神戸人形は幾度も廃絶の危機に見舞われましたが、その度にこの人形を愛する人が現われて、前時代の作品を再現し、自身の個性を加えて受け継がれてきました。今また颯爽とよみがえった神戸人形を次代へとつないでいけるよう、吉田氏の神戸人形製作を皆で見守り、盛り上げていけたらと思います。

(学芸員・尾崎織女)

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