日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2017.07.16

楽器の音・おもちゃの音

大暑を前に、蒸し暑く過ごしにくい日々が続いていますが、皆様にはお元気でいらっしゃいますか。
日本玩具博物館でも、またKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)の方でも子どもたちの夏休みを迎える準備が少しずつ整い、どんな出会いが待っているか、わくわく感が高まる今日この頃です。

6号館の「世界の民族楽器と音のでるおもちゃ展」会場では、展示室に設置した楽器や玩具を手にとって、誰かがナイジェリアの“パームナッツのジングル”を鳴らせば、誰かがベトナムの木魚を打ち鳴らし、小さな子がインドネシアのでんでん太鼓をバタバタと振れば、別の誰かがチリのレインスティックで応じます。やがてなんとなくリズムが合ってきて、セッションとなっていく様子はなんとも前衛的で、リオデジャネイロの町の喫茶店にいるかのような楽しさです。

先日は、法螺貝を抱えた男性がこの特別展を目指して来館されました。「ちょっと、この法螺貝を吹きましょうか?!」というお申し出をありがたくお受けして、即席のミニライブ“法螺貝と尺八の音色”――何千回の修業を重ねて出るようになったという石鎚立螺の様々な音色を、居合わせた方々と一緒に聴きました。魔を払うという渦巻くような深い音にしばし暑さも遠のきました。この展示期間には、こんなふうに楽器を携えた方々がお越しになり、即興演奏&即席ライブとなる楽しみがあります。楽器好きの方にはぜひ愛器ご持参でご来館下さいませ。



KIITO会場の方へは先日、神戸市立盲学校の高等部の皆さんがご来館下さいました。それぞれの展示コーナーから、玩具を取り出してそっと触れていただきながら、郷土玩具から近代玩具への移り変わりを「素材」「動力」をテーマにご覧いただき、原田学芸員と一緒にお話をしながら会場を巡りました。また紙コップに凧紐を通して「鳴くニワトリ」の玩具を作り、フリクション・ドラムの楽しさを味わっていただいた後、郷土玩具のフクロウ笛や鳩笛、カッコウ笛、バードコール、鳥の水笛、尾舞鳥などをそれぞれの手に渡して、発音玩具による即席演奏会を行いました。
フクロウ笛が鳴く夜の静けさから夜明け、バードコールの雀がさえずり、紙コップの鶏が一斉にコッコッコッコ、コケコッコーと時の声を作ります。鳩笛、小鳩笛、カッコウ笛などが鳴き合わせをしながら、鳥の玩具による大合唱で盛り上がり、また順番に静かになって夜のフクロウ笛がホウホウと鳴いて終わる演奏会です。郷土玩具の音色をこうして盲学校の皆さんと楽しめたことが非常にうれしく、私たちにとって深く胸にしみる体験でした。


日時を決めて開催している展示解説会では、ぶんぶんゴマやラトルウォッチ、ローカストシンガーなど、「鳴り物~noisemaker~」として分類される資料を鳴らしながら、その歴史や文化性についてご紹介するところから始めるのですが、それらの音は解説会に参加下さる皆さんの目を輝かせ、たちまち笑顔に変える力があると感じます。博物館資料ですから、展示品は遊ぶ(=使用する)ためにあるのではなく、保存を目的としたものですが、今も作られている郷土玩具や民芸玩具については、音や手触り、温度や重さなどを五感で知っていただき、現代の暮らしにも取り入れていただく、そのきっかけがつくられたら――と思うのです。(尾崎織女)

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