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姫路の七夕さん

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姫路の七夕さん
学芸室から 2019.07.07

新暦七夕のプチコーナーと織姫はヤバい女の子?

季節の変化を告げる梅雨が、近年は災害をもたらすような豪雨や大雨ともなり、心配もしてしまいますが、新暦七夕を迎えた姫路は梅雨の晴れ間の夏空が広がっています。夜も星の見える空が広がるといいのですが明日からまた雨の予報、どうでしょうか。

4号館の季節の展示プチコーナー

当館では毎年旧暦の七夕に合わせて5号館らんぷの家で播磨地方の七夕飾りをご覧いただいていますが、今年は4号館1階の郷土玩具コーナーに設けた、横90㎝奥行30cm高さ120㎝ほどのプチ展示コーナーにも七夕飾りを施しました。

古く中国から伝わった七夕の風習は千年の歴史の中で、夏祭りや盆行事、豊作祈願とも結びついたと考えられます。 各地の郷土玩具にも七夕にまつわる造形が残されていますが、4号館の小さな展示コーナーには、やはり地元のものをと思い、姫路市内で「七夕さんの着物」、朝来市生野町で「七夕さん」と呼ばれ親しまれてきた七夕の紙衣(かみごろも)をご紹介しています。姫路市内では市川が播磨灘に注ぐ地方に「七夕さんの着物」という男女一対の素朴な紙人形が伝わっています。竹ざおを人形の袖に通して、飾られ、子どもたちが着物に不自由しないようにと願われました。銀山の町生野町の中心部でも二本の笹竹飾りの間に芋がらを渡して一対から数対の「七夕さん」を吊るし飾られてきました。姫路では大塩や東山の昭和30年代~平成期の七夕さんの着物を、生野町は大正時代に作られた七夕さんを展示しています。


七夕といえば、無意識に夜空を気にしてしまうほど織姫と彦星の年一回の逢瀬に思いを寄せてしまいます。そんな七夕伝説にちなんで、昨年出版された、はらだ有彩さんの著書『日本のヤバい女の子』(柏書房)を面白く拝読しました。書店でも話題になっていたので、ご存じの方も多いかもしれません。日本の民話や古典文学に登場する「女の子」の背景や心情を、著者のはらだ有彩さんが想像(妄想)しながら現代的に解釈し、考察を掘り下げているエッセイのような内容です。タイトルの「ヤバい」は、トンでもない昔話に身をおきながらも受け入れた、彼女たちの生き方を尊重した、どちらかというとポジティブな意味で使われているように思います。

この本の中で『天稚彦草子(あめのわかひこぞうし)』と七夕伝説をもとにした少女(織姫)がとり上げられています。著者は、大蛇との結婚や瓢(ひさご)で空まで登るという厳しい決断を繰り返し、鬼舅とのはげしい闘いに身を置いたことで、とても魅力的になった人間の少女(織姫)にとって、そもそも離ればなれにならないことは、愛の必要条件になるのだろうかと問いかけ、鬼舅に突き付けられた「月に一度」を少女はわざと「年に一度」と聞き間違えたのではないかと想像します。そして少女(織姫)を距離と会う日数にとらわれず、日々の生活を楽しみながらも離れた天稚彦に変わらぬ愛を持って生きている自立した女性として考察しています。

他にも乙姫や八尾比丘尼、播州皿屋敷のお菊たちの語られてこなかった思いや考えを探るのは新鮮でした。はらださんと同世代ということもあるのか(苗字が同じというのもあるのか笑)、想像や考察に感覚に共感する部分も多く、また 昔話を“今”を起点にして身近な価値観に一度寄せてから当時の価値観を考えるということはわたし自身の博物館資料との向き合い方にも共通するところがあり興味深かったです。

各お話に描かれるはらださんのイラストも素敵です。わし座を眺めながら、キラキラでファンキーな宇宙スーツを着こなして仕事の合間にアルタイル(彦星)に「ハロー」と電話をするシティガールな織姫のイラストもいい意味でヤバいですよ^^もし興味のある方はお手にとってみていただけたらと思います。(原田悠里)

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