日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

特別展

ちりめん細工研究会30周年記念展 「ちりめん細工の今昔」

会期
2018年4月28日(土) 2018年10月8日(月)
会場
6号館

第一章 江戸と明治・大正時代のちりめん細工

第一章では幕末から明治時代にかけて製作された、縮緬(ちりめん)で作るお細工物の世界を展観します。「縮緬とちりめん細工」「江戸文化の薫りを伝えるちりめん細工」「女学生たちのちりめん細工」「用と美のちりめん細工・技法さまざま」「子育てのお細工物」の項目によって、日本女性の手の技と物づくりの心をご紹介します。

 【縮緬と「ちりめん細工」】

経糸に撚(よ)りのない生糸、緯糸に強い撚りをかけた生糸を用いて平織りし、精練して布の表面に「しぼ」を出した絹織物です。糸の撚り方や糸の太さ、織り方などによって様々な表情のしぼが生まれます。しぼが立つことで、つややかな絹織物に陰影が生まれ、柔らかさとやさしい風合いがかもし出されます。
縮緬は、緯糸の撚り方と織り方によって、しぼ立ちに変化が見られ、「一越縮緬」「二越縮緬」「三越縮緬」などと異なる名前で呼ばれています。また、しぼ立ちの大きい「鬼縮緬」、地紋のある「紋縮緬」、盛夏用の「絽縮緬」などの種類も見られます。
一方、裁った縮緬の残り布を縫いつないで作るお細工物は、江戸時代から上流階級の女性たちの間で育まれた伝統手芸です。花や動物、器物などを題材に小さな袋物に仕立てていくお細工物には、伸縮性とやさしい風合いをもつ縮緬がよく適しており、江戸から明治時代には、薄くて伸縮性のある「二越縮緬」が好んで使用されました。

 【江戸文化の薫りを伝えるちりめん細工】

江戸時代後半になると、武家や商家などの裕福な家庭の女性たちによって、花と動物の小さな袋物、巾着、人形、玩具、小箱などが裁ったちりめん(縮緬)の残り裂で作られました。これらは、香袋、お守り、宝物入れ、あるいは琴爪入れとして使用されていました。
江戸後期の風俗を書き記した『守貞謾稿』によると、京阪地方では、縮緬や他の絹裂を縫いつないで作った様々な大きさの「段袋」が流行していたこと、五色の縮緬裂を風車状にねじった「ねじり袋」、子どもの守護札などを収める巾着などが盛んに作られていたことが分かります。
このころの作品には、亀甲(六角)、七宝、菱などの吉祥文様をつないだ袋物、大陸の風俗を題材にした唐子人形の袋物、達磨や福助などおめでたい人物を題材にした小箱や巾着、きりばめ細工や押絵の手法で作られた煙草入れや楊枝入れ、懐中物など、江戸文化の薫りを伝える数々の作品があります。

浮世絵に描かれたお細工物の風景「大願成就有ケ瀧縞」より

 【女学生たちのちりめん細工】

明治時代に入ると、ちりめん細工は女学校の教材として取り上げられ、女学生たちは意匠をこらして作品づくりを競い合いました。明治27年、金田孝女が著した『女学裁縫教授書』をはじめ、『和洋裁縫大全(明治40年刊)』、『袋物細工の枝折(明治42年刊)』、『裁縫おさいくもの(明治42年刊)』、『続裁縫おさいくもの(明治45年刊)』、『裁縫おもちゃ集(大正5年刊)』など、裁縫お細工物(ちりめん細工)に特化した教科書が次々に出版され、女学校や裁縫塾などでも使用されました。
日本玩具博物館へ寄贈されたちりめん細工の中には、寄贈者本人が女学校時代、あるいは裁縫塾での修業時代に精魂込めて製作したもの、また母親や祖母の形見として、大切に保管されていた作品群がいくつもあります。

女学生たちのちりめん細工展示コーナー

女学校の教科書

明治中期から大正時代にかけて、女学校の教科書として使用されたちりめん細工の指南書は、江戸時代に武家や商家などの女性たちが手芸の心と技を集大成し、それらを新時代の女性へと受け渡していく役割をたしました。
明治42年刊『裁縫おさいくもの』の趣旨をみると、ちりめん細工を女学校の教材に採用する目的として、手指の技術の向上、美的鑑識力の発達、ものを大切にする心の養成をあげています。小さな残り布も無駄にせず、配色や形の美しさに配慮する感覚、それらを暮らしに生かす知恵と技を育てようとした女子教育の目的が示されています。
ちりめん細工には季節感のある作品が目立ちます。中でも四季を映す花や実、鳥や蝶、流水や魚を題材にした作品は、江戸時代からくり返し製作されてきました。

四季折々のちりめん細工

中世・近世の貴族社会において、正月、上巳、端午、七夕、重陽などの節句には、魔を除ける効果があるとして、香りの強い花や実を身につけたり、邪を払う力をもつ香木を袋物に入れて懸け飾ったりする風習が見らました。花や実などを題材にしたちりめん細工の中には、上流社会の風習の一端が伝えられているのかもしれません。
女学生たちは、それらの袋物に琴爪を入れて音曲の稽古に通ったり、香り袋や守り袋として持ち歩いたりして、自分らしさを表現したものと想われます。現代の女学生たちがカバンに付けているストラップのようなものでもあったでしょうか。

花鳥風月を題材にしたちりめん細工

 【用と美のちりめん細工 技法さまざま】

ちりめん細工には、小さな残り布も無駄にせず、配色や形の美しさに配慮する感覚にあふれた作品が目立ちます。特に大小の袋物や小箱、懐中物などは「押絵細工」や「きりばめ細工」「つまみ細工」の技法を用いて作られ、細部や見えない部分にまで工夫が凝らされています。

歌舞伎や人形浄瑠璃の名場面、福神や松竹梅、鶴亀などの吉祥文様、また四季折々の花鳥風月文様を大胆に表現した袋物の多くは、下絵に従って縫い代をつけて布を裁ち、絵を描くように縫いつないでいくきりばめ細工の手法が使われています。きりばめ細工は、“はめぬい(箝縫)”や“きりつぎ(切接ぎ)”などとも呼ばれ、技術と根気を要する難しいもので、地域によっては、手の技を嫁ぎ先に披露するものとして、花嫁道具と一緒に持参されました。これらは、寺院へ米や穀物を供えたり、親類知人へ祝いの米を贈ったりする入れ物として使用されていた地域もあります。

きりばめ細工の袋物(明治末~大正時代)

儀礼に使用された袋物

ここに展示する“きりばめ細工”の袋物は、裕福な町家の若い女性、主婦たちがほとんどですが、中には、高度な裁縫修業を修めたプロの作品も見られます。題材には、歌舞伎の演目や愛好する役者の似顔絵、伝説や文学作品の場面、四季折々の花鳥風月、また伝統文様なども選ばれて、その世界は非常に豊かです。
東海地方では「コメブクロ」「キリツギ」「ヌイコミ」の名で伝わり、近江や京都では「米袋」「洗米袋」「仏供米袋」などと呼ばれて、旧家などの蔵から発見されることもあります。婚礼や誕生などの祝儀、追善供養などの仏事、様々な儀礼に米を入れて持参するものだったのでしょう。一升の米を入れるので「一升袋」、女性の一生に寄り添うものという意味を込めて「一生袋」とも呼ばれました。
袋物の側面よりもむしろ底面を鮮やかに緻密に仕上げた袋物も多く、その意匠にも粋な美意識が感じられます。ちらりと底面が見えたときの息をのむ驚きを楽しむものだったかもしれません。

押絵

「押す」とは「貼る」に通じ、絵を部分にわけて型紙を起こし、厚紙を切り、それぞれに綿を含ませて貼り合わせていく手芸です。京都・宇治の興聖寺には東福門院作の「紀貫之像」が最も古い押絵として知られています。江戸時代に宮中の女房たちの間で始まったとされる押絵は、やがて江戸城大奥に移り、それが武家の女性たちにも広まっていきました。明治時代、押絵は女性たちのたしなみとして、女学校の教材に盛んに取り上げられました。ちりめん細工作品の中では、巾着や小箱、袋物の底などにこの技法がよく用いられています。

押し絵の型紙

きりばめ細工

「きりばめ」とは、布地の一部を切り取った後、別裂をその形に切り取ってはめ込んだものをいい、高い技術を要しました。細かな曲線を縫いつないでいくのには、絹糸の縒りをほどいて1本に裂き、摩擦などで糸が毛羽立つのをふせぐため、指に薄いのりをつけてしごき、一針ごとに細かい返し縫いがなされました。江戸時代に完成をみた技法で、ちりめん細工の袋物や袱紗などに多用されてきました。
ここでは、きりばめ細工の手法を用いた袋物の制作途中を示す資料を展示します。美濃紙などで裏張りがされ、絵の輪郭を描くように、小さな針目で縫いつないであるのがよくわかります。きりばめ細工の袋物が完成すると、地元の絵師や絵の上手な方に依頼して、顔の表情などを描いてもらう場合が多かったようです。

きりばめ細工の製作過程(表側と裏側)

ほ 【子育てのお細工物】

明治・大正時代のちりめん細工には、子どもの誕生を祝い、その成長を見守る作品が数多く残されています。まだ不安定な赤ん坊の魂がこの世に留まり、しっかりと社会につながれることを産土神に願う初宮参り――そのような儀礼において使用される守り袋やよだれかけ、帽子、また、子どもの成長とともに必要となる巾着や人形袋、やさしいちりめん細工の玩具など、母親の愛情が伝わる作品を展示します。こうした子育てのお細工物は、女学校の教科書の中でも数多く取りあげられています。

子育てのちりめん細工展示コーナー

宮参り帽とよだれかけ

初宮参りの折に着用された帽子とよだれかけには、魔を除け、赤ん坊の身を守る「赤」が好まれました。また赤ん坊の健康と将来の幸福を祝福する意味をもつ吉祥文様があしらわれています。

初宮参りの守り袋

隠れ蓑や隠れ笠は、宝文様として親しまれ、これらを着けると、魔物から身を守ることが出来ると考えられていました。隠れ蓑の巾着は、初宮参りの折、悪霊から赤ん坊を隠すために持参されるものと伝わっています。裏側にもうけられた巾着型の小袋の中に神社の守護札が収められました。

守り袋

元気に外遊びをはじめた子どもの帯には、「守り袋」と呼ばれる巾着が下げられました。『女学裁縫教授書(明治27年刊)には、「中に守護札とともに薬や書付などが収められ、持ち主の小児が道に迷ったり、不慮の事故に巻き込まれたりした折に用を為す必需品であった」と解説されています。

迷子札

桃もち童子や羽子板娘、奴さんや猫、三番叟など、高さ7~8cmほどの押絵人形に紐が付けられ、裏側は白絹や木綿が張られています。そこには、子どもの住所と名前が書かれます。遊びに夢中になった子ども達が生活の場を離れ、迷子になった時のためにと、明治時代の母親は子どもの帯にこうした押絵の札を結びつけて外へと送り出していました。
「上京区押小路東洞院東ヘ入ル町南側藤井熊之助 倅 為造」と墨書が入った仔犬の迷子札があります。小さな作品には、子どもへの愛情と生活共同体への信頼感が溢れています。

迷子札展示風景

人形袋とお猿っこ

這い子人形袋は這い這いする赤ん坊の姿を表したお細工物で、「這い子」の形態を受け継ぐ造形のひとつです。這い子人形袋は、持ち主の身を守ってくれるもの、あるいは嫁入りの折に臍(へそ)の緒を入れて持っていくと、子宝に恵まれると伝える地方もありました。赤い猿のお細工物は、魔を「さる(=去る)」まじないが込められた守り袋。両手両脚が結び合わされて出来る「×」印と病魔除けに効果があるとされてきた赤い色がその力を強調しています。

唐子のお細工物

幕末から明治にかけてのちりめん細工には、「唐子」とか「唐人」とか呼ばれる作品が目につきます。これらは、衿や袖にフリルのついた異国風の衣装を身にまとい、つば広の帽子をかぶっていることもあります。「唐(から)」は朝鮮半島も含めた中国大陸全体の呼称でした。江戸時代には、「朝鮮通信使」が李氏朝鮮の文化を携えて、何度も来日しています。衣装、音楽、文学・・・洗練された異国の文化に魅せられた人々の間には「唐」の風俗を表わす造形が流行しました。これらの袋物は、中国大陸と朝鮮半島の風俗が混合された意匠で、幸せを象徴する図像です。

ちりめん細工の玩具

大正5年には、「子どもにとって安全で教育上価値のある玩具を布で製作する方法を明らかにする」趣旨で『裁縫おもちゃ集』が刊行され、女学校の教科書に採用されましたが、ヨーヨーや独楽、犬張り子等、当時、日本各地で遊ばれていた郷土玩具を題材にした可愛い玩具の数々が掲載されています。女学生たちは将来、母となる心構えも一緒に学んでいったことでしょう。

へ 【技を凝らした暮らしのちりめん細工】

櫛入れや楊枝入れなどの懐中物、また小物を収納する小箱、祝儀の折に活躍する熨斗(のし)飾りなど、暮らしのなかで使用されたお細工物を展示します。見えないところにも趣向を凝らし、蓋を開け、扉を開いたときの意表をつく造形に作り手は手芸の技を注ぎ込みました。
縮緬をはじめ、金襴(きんらん)や緞子(どんす)、繻子(しゅす)などの小裂を縫い合わせて絵を描く「きりばめ細工」や布片に綿を含ませてアップリケのように 絵を浮き立たせる「押絵」などの手法が応用されています。作り手の技術の確かさと美意識の高さ、そして豊かな遊び心を感じさせる作品の数々です。

技をこらしたちりめん細工の展示コーナー

懐中物

幕末から明治・大正時代には、押絵やきりばめ細工の技を生かし、繊細で粋な懐中物が家庭において作られていました。渋い色合いの覆いをあげると、花や鳥の鮮やかで斬新な文様がとび出したり、懐紙や櫛、鏡などの小物入れが広げて組み立てると屋形船になったり、斧と菊と琴柱のデザインを組み合わせて「よきこときく」としゃれてみたり……。いずれも粋な遊び心にあふれた作品です。

小箱

ボール紙が簡単に入手できなかった時代、六角形、円形、花形などの小箱は、和紙を何枚も重ね合わせて作られていました。全体に縮緬を貼り、蓋には美麗な文様が細工されました。押絵やきりばめ細工、とくには切付の技法を用いたものも見られます。中でも赤い紋縮緬に押絵の技法で鮮やかな白牡丹をあしらった小箱などは、白の鬼縮緬でふんわりと作られた花びら、細やかな花芯、コテで葉脈が刻まれた葉など、繊細で豪華な雰囲気は、高い技術を積んだプロの手を感じさせます。

押し絵の飾り熨斗

祝儀の贈り物に添えられる熨斗鮑(のしあわび)から転化した和紙製の熨斗は、江戸時代後半、贈答行為の発展とともに様々な意匠をもつようになります。そのひとつが「押絵」や水引で賑やかに飾られた熨斗です。富士山を背景に吉祥を抱く恵比寿と大黒、七宝を満載した宝船、長寿を象徴する浦島太郎、繁茂を意味する菱の花。それぞれが、押絵で賑やかに飾られ、熨斗の限られた画面に見事な配置をみせています。

第二章 平成時代のちりめん細工

日本玩具博物館では、1970年代よりちりめん細工の古作品や型紙、文献資料の収集を行ってきました。1986年からは、ちりめん細工をテーマにした企画展を開催し、ちりめん細工の伝える世界のすばらしさを広く紹介するとともに、実物資料や文献をもとに作品を復元する講座を開設して、途絶えた手芸文化の復興に取り組んできました。「ちりめん細工研究会」を組織して、技術伝承者の育成と愛好者の拡大につとめ、近年のちりめん細工ブームの原動力となっています。

ちりめん細工で綴る日本の四季

ちりめん細工の世界では、花鳥風月や四季の風物詩をおり込んだ作品群が大きな領域をしめています。ここからのコーナーでは、季節感あふれる作品群によって、春夏秋冬の風情をたどります。桜花、朝顔、菊花、水仙の花をモチーフにして製作された季節の柱飾り、季節感のあるちりめん細工を小さく作り、壁面にさげ飾れるように工夫を加えた四季のつるし飾りなどもあわせて展示し、近代的な住環境の中でも自然を感じ、「和」の伝統を楽しむ方法をご紹介します。

ちりめん細工で綴る四季展示コーナー

冬から新春のちりめん細工

新春を迎えるこの季節は、おめでた尽くしのちりめん細工が登場します。祝い鯛の巾着、夫婦円満を願うおしどり袋、健康長寿を祈る鶴や亀の巾着など、小さな袋物に健康や幸福への願いが込められた作品など…。ここでは、“鶴と亀の一連飾り”、“宝袋と鯛の一連飾り”をはじめ、おめでたいムードを演出するつるし飾りを合わせて展示します。
また、雪の中で凛と咲く梅の花、山里に春を呼ぶうぐいす、春の訪れを告げる椿の花を題材にした作品の数々をご紹介します。

春のちりめん細工

春は花の季節です。ふきのとう、菜の花、土筆、桜、桃、竹の子。春爛漫を彩る花々は、ちりめん細工の格好の題材として繰り返しとりあげられてきました。同じ花でも、花芯を袋に仕立てたり、ガクに内袋を作ったり…と、製作者それぞれの工夫がこらされ、作品ごとに雰囲気が違うのも見どころです。
また、春は、桃の節句で華やぐ季節。ここでは、春の花々に、愛らしい小鳥や小動物をあわせた“輪さげ”や“つるし飾り”、“傘飾り“を合わせて展示します。女児の健康と幸福を願って、雛人形とともに飾って嬉しい作品の数々です。

桜花を題材にした袋物いろいろ

初夏のちりめん細工

風薫る五月は空に鯉のぼりが泳ぎ、菖蒲の花々が爽やかに開花する季節。初夏の花々は、牡丹、大山レンゲ、杜若、花菖蒲、薔薇…と華やかにちりめん細工の世界を彩ります。杜若や花菖蒲などは、同じ型紙であっても、花びらの色をかえると、異なる表情を楽しめます
端午の節句にあたり、鎧かぶと、金太郎や熊、虎などの武者飾りをテーマにした作品が数多く作られます。ここでは、愛らしい武者飾りに鯉のぼり、粽や柏を添えた“輪さげ”や“つるし飾り”を展示します。

雉袋

夏から初秋のちりめん細工

夏は水辺の恋しい季節です。夏の季節を題材にした作品には、金魚、蛙、蝉、紫陽花、蓮の花、朝顔などがあります。爽やかな色調のちりめんを使った作品が古くから見られます。ここでは、“金魚の一連つるし飾り”、“朝顔の一連つるし飾り”をはじめ、ゆらゆらと風に揺れれば、暑い夏に涼を感じる作品をご紹介します。
また、古くは初秋の行事であった七夕を題材にした“さげ飾り”や“傘飾り”を桔梗袋やほおずき袋などと合わせて展示します。

明治時代の女学校の教科書に掲載されていた金魚袋を復元応用した作品

秋のちりめん細工

野山が色とりどりに美しく彩られる季節。実りの秋にふさわしいちりめん細工には、柿の実や栗の実、まつかさなどがあげられます。菊花のちりめん細工は、古くから人気があり、重陽の節句には欠かせない題材で、大輪の菊花、繊細な糸菊、愛らしい小菊・・・と、様々な菊花袋が製作されてきました。ここでは、“糸菊のつるし飾り”や実りの秋を感じさせる傘飾りを中心に展示します。

兎袋・美男葛袋・小菊袋

ちりめん細工のつるし飾り

「つるし飾り」は、輪から下げた糸にちりめん細工や手まりを結び付け、雛段の周りにつるし飾って女児の成長と幸福を願う飾り方です。このつるし飾りは、伊豆稲取の「つるし雛」と福岡県柳川の「さげもん」が有名で、「つるし雛」は1998年から、「さげもん」は翌年から、町おこしとしての取り組みが始まりました。折からの雛めぐりブームの影響もあって関心を集め、全国に知られるようになりました。雛まつりにつるし飾りを行う町は年々増加しています。
長年ちりめん細工の復興活動に取り組み、先駆的な役割を果たしてきた日本玩具博物館では、ちりめん細工の飾り方の一つとして、独自に様々なつるし飾りを考案し、出版物においても広く紹介しています。