日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

企画展

春の企画展 「世界の鳥の造形」

会期
2015年2月28日(土) 2015年6月2日(火)
会場
1号館

「鳥」と聞いて、皆さんは何を連想されるでしょうか? 青空、さえずり、緑の木々、森、自由、平和、幸福・・・。北欧には、冬のさなか、庭の枝に麦穂を結びつけ、身近に鳥たちを集めて巡りくる春を予祝する風習があります。また、ヨーロッパはじめ世界各地には、鳥の声をまねた笛を吹き鳴らして鳥を身近に寄せ、さえずりの共演の中に春の陽光を喜びあう習慣が残されています。ここにおいて鳥たちは、春の喜びを象徴しているのでしょう。

造形された鳥の起源を考えるとき、考古的出土品の中の“木の鳥”(日本)が思い起こされます。あるいは、朝鮮半島に見られる村の境の標柱にすえられた木の鳥や、古代エジプトに見られた葬送の船を飾る鳥形なども、遠い昔の鳥造形の様子を伝えています。古代、翼をもった鳥が霊魂をのせてこの世とあの世との間を行き来するものと考える民族が多くあったことはよく知られています。また鳥は、農耕民にとって、実りと幸せをもたらす穀物霊を運ぶものと考えられていたようで、ロシアをはじめ、東欧の国々には「幸せの鳥」とか「平和の鳥」と呼ばれる翼を広げた木の鳥の造形が、古くから家々に飾られていました。

アルハンゲリスクの扇の鳥(ロシア)

鳥を題材にした造形、その長い歴史を背景に、世界各地で様々な種類の鳥が玩具化されてきました。中でも、餌をついばむ鶏、らんらんと目を輝かせるフクロウ、ヨチヨチ歩くアヒルなどは、人間との結びつきの深さを繁栄して、大変人気のある題材です。

パガン張子のフクロウ(ミャンマー)

本展では、鳥に託した人々の願いを探りながら、民族色豊かな鳥の造形を地域ごとに展示します。また、「鳥車」「ついばむ鳥」「動く鳥・鳴く鳥」「世界の鳥笛」と玩具の形態別にも展示し、世界の鳥の玩具に共通する要素を紹介します。同じ様式の玩具が国境をこえて、広く存在することの驚きや、世界の人々がそれぞれの美意識と遊び心で作った鳥たちの表情の豊かさを楽しく味わいです。

あわせて、復活祭(イースター)を祝う季節にちなみ、鶏卵や鵞鳥卵で作られるイースターエッグをご覧いただきます。

イースターエッグ展示風景(ポーランド・ウクライナ)

展示総数 約350点(世界60ヶ国)

世界のの造形

 鶏、フクロウ、アヒル、鳩などは、どこの国々の造形にもよく見られますが、鳥によっては民族独自の感性と民間信仰などから、その地域で特別に愛され、玩具や造形にも登場する鳥があります。インドの孔雀、エジプトのイビス(トキ)、ブラジルのパパガイオ(オウム)、東西アフリカ諸国のホロホロチョウやサイチョウ、フラミンゴ、西ヨーロッパのコウノトリなど、このコーナーでは、地域ごとに分けて展示し、民族色豊かな鳥の造形をご覧いただきます。

Ⅰ アジア・オセアニア

 アジア・オセアニアでは、他の地域と同様に、身近に存在する鶏やアヒルなどの造形が数多く見られます。また、中国や日本の鶴、韓国の鴨、ミャンマーのフクロウ、インドの孔雀、フィリピンのオウムやインコ、ニュージーランドのキーウィなど、国によっては神聖な鳥として、あるいは魔を除け、福をもたらす鳥として、特別の愛されるものもあり、玩具やマスコットとして今も人気があります。

アジアの鳥たち

Ⅱ 中東・アフリカ

 このグループでは、エジプトで神聖な鳥として敬愛されるトキやハヤブサ、象牙海岸の国々で豊穣をもたらす鳥として信仰を集めてきたサイチョウ、ブルキナファソやタンザニアのホロホロチョウなど、アフリカの国々に特徴的な鳥の造形を中心に紹介します。これらの造形が、黒檀やオリーブ、ソープストーン、バナナの木の皮、サイザル麻など、アフリカ大陸ならではの素材を使って作られているところにもご注目下さい。

バナナの皮細工の鶏(ケニア)
アフリカの鳥たち

Ⅲ ヨーロッパ

 スウェーデンやフィンランドなど北ヨーロッパの国々において、明るい太陽をもたらす鳥として愛されてきた鶏、童話などの題材にも登場し、城と湖の美しさを象徴する白鳥、ドイツやスペインをはじめ、ヨーロッパの多くの国々で、赤ん坊を運ぶ鳥として愛されるコウノトリ、また、ヨーロッパの森を想起させるコマドリやキツツキ・・・と、この地域の特徴を感じさせる玩具の色々を展示します。

ディムコボの鶏(ロシア)
ヨーロッパの鳥たち

Ⅳ アメリカ

 このグループでは、メキシコのホロホロチョウ、ペルーのコンドル、ブラジルのオウム(パパガイオ)など、北米、中南米の国々で愛される鳥の造形を集めて展示します。カナダやアメリカ合衆国では、パイン材など使って、鳥の丸く柔らかな形を表現した玩具が多く見られます。メキシコやグアテマラ、ペルーでは荒削りながら、カラフルな彩色と生命感あふれる民芸的な造形がみどころです。

オウムを愛するカラベラ(メキシコ)
中南米の鳥たち

 

世界のおもちゃ

 鳥が玩具になる時、人々がその鳥のどこに興味を抱いたかが強調されて面白い造形が生まれます。ついばむ鳥、羽ばたく鳥、ゆれる鳥、鳴く鳥、同じ仕組みの玩具が国境をこえて広く分布していることには驚かされます。

世界各地で作られている「ついばむ鶏」

 

世界の

 鳥の鳴き声を模した木や土の鳥笛を各国から集めて展示します。単音のみが響く笛、指孔を開閉させるカッコウ笛(二音笛)、簡単なメロディーを奏でるオカリナ、胴部に水を注いで振動させる水笛など、鳥笛のバリエーションを紹介します。高い音、低い音、やさしい音、かたい音・・・・・・鳥笛の音色は、それを作る民族の、音に対する好みを伝え、また鳥の鳴き声に対する感じ方をもよく表わしています。ロシアや中国など、ユーラシア大陸の超高音の鳥笛や、ドイツをはじめとするヨーロッパの楽音志向の鳥笛、日本の自然音に近い穏やかな鳥笛・・・それらの音を比較しながら展示します。

ヨーロッパ各地の二音笛・オカリナ(左からフランス・フィンランド・スウェーデン・ドイツ・ロシア)
世界の鳥笛展示コーナー