「おもちゃで綴る日本の祭」 | 日本玩具博物館

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企画展

秋の企画展 「おもちゃで綴る日本の祭」

会期
2007年9月15日(土) 2007年11月20日(火)
会場
1号館

日本全国いたるところに四季折々の祭礼があります。豊作を祈るもの、豊漁と海上の安全を願うもの、疫病や悪霊を退散させるものなど、人々は祭礼によって神を鎮め、その行事の中に、生きる上での願いや祈りを込めてきました。祭囃子の笛や太鼓、獅子舞の先触れ、華やかな山車(だし)の引きまわし、神輿(みこし)のもみあい……それらが登場する順序やストーリー、被り物の色、賑やかな音と楽しげな音楽、そのすべてに、日本人が育んできた信仰や美意識が表現されています。

秋祭の季節の到来です。子どもにとっての祭は、夢と空想を誘う楽しい行事であり、祭への参加を通して村や町の一員としての誇りを育みました。祭日の露店では、山車、屋台、神輿、獅子頭、天狗や火男(ひょっとこ)の面など、地域の祭礼にちなんだ玩具が売られました。それらを買ってもらった子どもたちは、祭が終わった後も、その様子をまねて遊び、夢の余韻を楽しんだのでした。

こうした玩具は、それぞれの地域の屋台や獅子頭などの特徴をよくとらえて作られているため、日本各地の祭礼習俗を物語ってくれる資料でもあります。本展では、人々の暮らしの中から生まれたふるさとの祭礼玩具、約350点を項目別、地域別に展観するものです。展示品の中には、廃絶して今では地元でも見ることの出来ないものも多く含まれています。

明るく華やかな祭りの玩具の数々は、かつての日本のハレの日の風景を甦らせてくれることでしょう。

展示総数  約350組 

    

日本各地の祭礼風景

山車が初めて登場するのは平安時代、京都の祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)ですが、以来、千年の歴史の中で、全国各地に豪華な山車が生まれました。御霊会は、天災や疫病で非業の死を遂げた人々の怨霊を慰めるための祭りだと言われています。諸々の悪霊を誘い出し、封じ込め、外へ送り出すために、山車を華やかに飾りたて、賑やかに囃したてることが効果的だと考えられたのでしょう。    

 祭礼の中心ともいえる山車、神輿、屋台は、各地で盛んに玩具化されてきました。子どもたちは、これらを通して、自分たちの町の山車や屋台の形を楽しみながら覚えていきました。ここでは、山車、神輿、屋台など約200点の祭礼玩具を通して、日本各地に伝承される祭礼の色々を紹介します。

祭礼のお面

 子どもの面に影響を与えたのは、各地の民間信仰から生まれた里神楽の面であるといわれています。里神楽は、神社の祭礼で迎えられた神を慰めるために奉納される舞楽です。

 この面を模して、天狗、鬼、おかめ、火男などの張子面が作られるようになるのは、江戸時代のこと。近代に入ると、全国各地で伝承されてきた張子面は、セルロイドやプラスチック製の面に押されて徐々に姿を消していきましたが、面には超自然的な力がひそみ、その威力によって悪霊を威嚇、退散させることが出来ると信じる心は、時を越えて、今の子どもの心にも受け継がれているようです。時代を彩った約80点のお面がずらりと並ぶ展示室は壮観です。

獅子頭の玩具

 獅子頭のミニチュア。子ども達は、頭に手を差し入れて口を打ち鳴らしたり、自分の頭にかぶったり…と、獅子舞をまねて遊びました。

 獅子頭は、奈良時代以前に渡来した中国伎楽のシシが原型になっているといわれていす。シシ(獅子)を、人間の生活を脅かす精霊、あるいはそれを鎮める霊獣として崇める民俗信仰は、中国、東南アジア、ペルシャにも見られます。祭に登場する獅子舞は、神楽の渡御(とぎょ)の先触れとして、また神輿に付き添って、祭場や道筋、家々の悪霊払いとします。獅子頭の玩具は、地方による造形の違いをよく表わしています。獅子が鹿や虎、麒麟である地域もあって、日本における獅子のイメージの豊かさをよく伝えています。

 このコーナーでは、廃絶した資料もふくめ、明治末期から昭和30年代のものを中心に約120点を展示します。


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