「ふるさとの雛人形」 | 日本玩具博物館

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企画展

開館30周年記念◇春の企画展・1 「ふるさとの雛人形」

会期
2004年2月21日(土) 2004年4月6日(火)
会場
6号館

雛人形の歴史は古く、平安時代の王朝文学に登場する「ひいな」と呼ばれる手遊び用の紙人形、あるいは貴族社会の天児(アマガツ)や這子(ホウコ)などにその起源が求められます。また、季節の変わり目ごと、一対の紙製人形に身の穢れや災厄を移して川や海に流す「雛流し」の行事の中には、古い時代の雛祭りの様子を見ることが出来ます。

雛飾りが発展するのは、泰平の世の続く江戸時代のこと。都市部が経済力をもつ江戸後期になると、裂製の優美な衣裳雛に諸道具や添え人形も加わり、豪華な段飾りや御殿飾りが出現します。さらに江戸末期から明治時代にかけて、土、紙など身近にある安価な材料を使って庶民のための雛人形が全国各地で作られ始めます。こうした土雛や張り子雛は、「ふるさとの雛人形」として土地土地の表情をその身に映しながら、雛祭りの普及に大きな役割を果たしました。

本展では、当館が所蔵する約600組の雛人形コレクションの中から、ふるさとの雛人形を地域ごとに紹介します。今では見られなくなった個性豊かな雛人形の数々には、春の節句を祝う人々の素朴な感情が表現されています。各地に伝承され、雛人形の祖形とも言われる守り雛や紙雛、時代を映す変わり雛の色々を加えて、日本の風土が育んできた雛祭りの幅広い世界を紹介していきます。

6号館の特別展「御殿飾り雛の世界」とあわせ、日本玩具博物館の雛まつりをお楽しみ下さい。                 

展示総数 約200組


<ふるさとの雛人形> 

江戸時代後期、衣裳雛が都市部の裕福な人々のものとして発展を遂げて行く一方、封建色の強い各地の農村部などでは身近にある安価な材料を用い、自給自足的に雛人形が作られました。土製のもの、反故の紙を利用した張り子製のもの、家具類製作時にでる木屑に糊を混ぜた練り物製のもの、また木製や裂製のものなど、土地土地に独特な着想で製作され、郷土の人々に歓迎されました。これらは、雛飾りが画一化する前の個性的な人形で、日本の雛人形史上に魅力を放っています。

 ●雪国の雛………江戸時代末期、農家の副業として奨励された土人形作りは、東北地方では、宮城県仙台の堤人形を中心として各地に豊かな花を咲かせました。秋田県八橋や山形県酒田の土雛は、雪国に春を告げるような明るい色彩がまぶしく、福島県三春の張り子雛は、享保雛風の動的な姿態とユニークな表情が笑顔を誘います。

 ●関東の雛………江戸後期の川柳に「村の嫁今戸のでくで雛祭」とあるとおり、江戸付近の農村では当時、浅草・今戸焼きの土雛が盛んに飾られていたようです。埼玉県鴻巣では木屑を糊でといた練り物製の雛、千葉県芝原では土玉の入ったイシッコロビナなどが作られました。また、埼玉県や群馬県には、誕生や結婚の祝いに裃姿の童子雛一体を贈るという、この地方独特の風習が残されています。

 中部・東海の雛………土人形は型抜きをして製作されるため、同一文化圏には同じ型の土人形がよく見られます。岐阜県や愛知県の各地には、大きさや細部は異なりますが、よく似た形の土雛が残されています。いずれも濃い彩色と量感が特徴です。長野県松本には、綿を含ませた布を型紙にのせていく押絵の雛人形が伝承されています。

 関西の雛………約四百年の伝統をもつ京都府の伏見人形は、全国の土人形に影響を与えたといわれています。江戸時代末期の全盛期には窯元は五十余軒、種類は数百をこえ、土雛なども京土産として、西日本一帯へ流れていました。滋賀県小幡や兵庫県稲畑、葛畑などの土雛は伏見の系統をひくものです。この他、近畿地方には神社で授与される土俗的な雛人形が残されています。

 山陰の雛………鳥取県用瀬をはじめ、この地方には身の穢れを紙のヒトガタに託して川に流す「雛流し」の伝統行事があります。旧三月の節句に二対の紙雛を求めて雛段に飾り、一対は家に残し、一対は前年の一対とともに桟俵にのせて川に流します。また、島根県長浜には古今雛風の優美な土雛が残されています。

 南国の雛………瀬戸内や九州地方には、両袖を前に重ねた型の土雛が多く見られます。九州にはこれと同じ形の衣裳雛もあり、この地方の独自性と文化圏としてのまとまりがうかがい知れます。一方、鹿児島県の糸雛や沖縄県のウメントゥと呼ばれる紙雛など、子どものもち遊びにも適した素朴な雛人形が個性をはなっています。大分県日田に伝承される「お上げ」と呼ばれる押絵雛も見どころです。


<ユニークな雛飾り>

◆兵庫県但馬地方の雛飾り
 黒の布を敷いた雛段の最上段には内裏雛を、二段目よりは女物、童子物、金太郎や武者、恵比須・大黒など様々な種類の添え人形が飾られました。一ヶ月遅れの四月三日の節句で、女の子と男の子両方の健康と幸福を願う雛飾りです。

◆広島県三次地方の雛飾り
 広島県三次地方でも江戸時代末期頃より土人形の色々が作られていました。この地方の雛飾りは、「雛天神」と呼ばれる天神の土人形を中心に、三次で作られる様々な種類の添え人形を飾って祝われました。三次地方の桃の節句は、男の子と女の子の両方の健康と幸福を祈る行事でした。

◆大分県日田地方の雛飾り
 大分県日田市を中心とする地方では、「おき上げ」と呼ばれる押絵の人形が飾られます。型紙に従って布を裁ち、綿を含ませて部分ごとに布で包んで人形に仕立てていく平面的なものですが、かつては家庭で手作りされ、竹串を付けて台を差して飾られました。置き上げのほとんどは、「松の廊下」や「静御前」など歌舞伎の外題をあらわしています。本展では、こうした伝統のおき上げに、内裏雛などを組み合わせた段飾りを展示します。


<展示解説会ご案内~桃の節句の雛人形をめぐる~>

6号館の「御殿飾り雛の世界」では、江戸時代後期から、明治・大正・昭和時代の雛人形の特徴とその移り変わりについて、展示品のひとつひとつを取り上げながらお話し致します。また1号館の「ふるさとの雛」では、大都市部の衣装雛の様式が各地にどのような影響を与えたかに焦点を当てて、お話し致します。下記の日程に6号館特別展示室へお集まり下さい。
  日時= 2月11日(水/祝)・22日(日)   14:00~
      3月7日(日)・14日(日)・21日(日)・4月4日(日)    11:30~/14:00~


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