日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

Language

展示・イベント案内 exhibition

企画展

春の企画展 「土の鈴・形と音色」

会期
2005年2月26日(土) 2005年6月28日(火)
会場
1号館

日本の発音道具(音具)の中で、最も種類も数も多いのが「鈴」だといわれています。神社の祭儀に用いられる鈴や守り鈴、家畜につける守護鈴、全国各地で古くから作られている郷土玩具の土鈴、根付やキーホルダーなど、私たちの生活場面を思い返すと、実に様々な鈴が身の回りに存在していることに気付きます。こうした鈴の色々を愛し、特に旅先の土産として買い求め、手元に数々の鈴をコレクションして楽しむ人たちも少なくありません。今回は、そのような鈴のうち、「土鈴」を取り上げ、小さな造形に表現される豊かな世界をご紹介します。

日本の鈴の歴史をさかのぼると、縄文時代の土鈴に行きつきます。縄文中期の釈迦堂遺跡(山梨県)からは、内部に2~5個の土玉が入った小さな土鈴が発見されました。音色はすずやかな響きをもちます。儀礼の中で打ち鳴らされる土鈴の音色は、人々の心を込めた奏上に神々が応える慶びの声であるとも考えられています。江戸時代安永6(1777)年の『倭訓栞』によれば、鈴は、その音が「すずしい」のでその名が付けられたとあり、その鈴を打ち鳴らせば、除魔の呪力があるとして、古くから祭具に使用されてきたと記されています。古墳時代には、墳墓の副葬品や埴輪にも見出され、通信具としても用いられたことがわかっています。


鈴は、土、木、金属など様々な素材から作られる音具であり、世界に共通する原始楽器の一つですが、近世に入ると玩具化して発達し、その過程で地域的な多様性をもつようになりました。そうした日本土鈴の豊かな形と音のバリエーションは、世界の中でも例を見ないものと言われています。寺社が授与する土鈴は、魔除け、厄除け、虫除け、安全祈願などの願いが込められ、人々は子どものため、病気の家族のため……と盛んに買い求めてきたのです。

郷土玩具の世界に伝えられる土鈴

近年では、小さな造形の中に旅で訪れた地の思い出を留め置けるものが愛され、土地土地の風物を折りこんだものも目だちます。

本展では、「全国土鈴めぐり」「寺社からの授与土鈴」「土鈴の音」「土鈴の形」の4つの項目で近世から近代にかけて作られ、多くの人々に愛された土鈴の数々をご紹介します。愛らしい土鈴の音と形の世界をぜひお楽しみ下さい。

展示総数 約500点 


①古代の土鈴~神留まる(かんづまる)音

日本の鈴の歴史をさかのぼると、縄文時代の土鈴に行きつきます。山梨県の縄文中期の釈迦堂遺跡からは、内部に2~5個の土玉が入った小さな土鈴が発見されました。音色はすずやかな響きをもち、伝統音楽研究者の木戸敏郎氏や茂手木潔子氏は、この音を「神留まる音」と説明しています。儀礼の中で、打ち鳴らされる土鈴の音色は、人々の奏上に神々が応える慶びの声であると。写真資料によって、古代の土鈴についてご紹介します。


②土鈴の音~楽器の中で

鈴には二種類の形があります。一つの球体の中に、一個か数個の玉を入れたものと、内部に玉を入れた球体をいくつも集合させたものです。日本人は古来、鈴の形にどのような音色を求めたのでしょうか。「音色」の視点から、実物と文献によって、土鈴の形の様々をとりあげます。


③寺社からの授与土鈴~身の守りとして

江戸時代の終わり、神社や寺院から広く庶民に向けて様々な土鈴が授与されるようになります。魔除け、厄除け、虫除け、安全祈願の願いを込めた小さな土鈴を参詣土産として人々は買い求め、子どものため、病気の家族のため…と土鈴を慈しみました。土鈴は、家の戸口に掛けたり、帯に結びとめたり、根付にしたりして身の守りとして使用されたものです。古いものから近年製作されたものまで、寺社土鈴を集めて紹介します。

寺社から授与される守り鈴


④全国土鈴めぐり~各地の風物を題材に

庶民が経済力を持ち始める江戸後期、農村部などでは身近にある安価な材料を用い、自給自足的な玩具生産が始まります。現在「郷土玩具」と呼ばれる全国各地の土製玩具や人形の産地で土鈴が作られ、次代に継承されていきます。産地の日常生活の中から生まれたものだけに、土地土地の感性や風物をよく反映し、地域色が特徴です。このコーナーでは、北から南へ日本の土鈴を巡ります。

郷土の土鈴(上=近畿地方/下=東海・北陸地方)
郷土の土鈴(九州地方)


⑤土鈴の形~手のひらの中の造形

丸く小さな形、その限られた形の中に人々は様々なテーマを折り込み、ユニークな造形感覚を表現してきました。ここでは、テーマ別に土鈴を集めて、形のおもしろさをご紹介します。
人物……雛、達磨、天狗、七福神、おかめ・ひょっとこ、童子、物語の主人公など
動物……干支の動物、想像上の霊獣、鳥、魚、貝など
器物……鐘、木魚、鏡などの宗教用具、生活用具、建物など
植物……花、実、葉など