日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

企画展

冬の企画展 「日本一の虎玩具展」

会期
2009年11月21日(土) 2010年2月16日(火)
会場
1号館
大阪張子・虎と加藤清正 大森の麦わら細工の虎 伏見土人形・横向き虎

平成22(2010)年の干支の動物は寅(=虎)。寅歳を祝い、虎をテーマにした郷土玩具を集めて、「日本一の虎玩具展」を開催します。十二支は、日本人の暮らしに深く浸透した民間信仰です。例えば、生まれ年にあたる動物の性質がその人の性格や運勢などに関係するという信仰、自分の生まれ年に因んだ動物を守りにする習俗などがあります。干支の郷土玩具はこれらを母体にして生まれた庶民的な文化財です。

虎は、わが国には生息しない動物。虎という動物の姿については、大陸から渡来する絵画や造形物を通して、古くから知られていたに違いありませんが、文献上、日本人と本物の虎との出合いは、文禄3(1595)年。朝鮮の役に従事した吉川広家が豊臣秀吉に虎を送り、秀吉がこれを宮中に運んで天覧に供したと伝えられています。

●生きた虎が見世物として庶民の前に登場するのは、延宝3(1657)年の版本『芦分船』の「大阪・道頓堀見世物」の条に「虎の生け捕り」があり、さらに『摂陽年鑑』にも「延宝年中、虎の生捕りとて、大坂に於いて諸人に見せしむ」とあります。虎は江戸庶民の人気を集めていたようです。
虎が玩具の題材となっている様子が記されているは、井原西鶴著の『男色大鑑』(貞享4・1687年刊)で、第7巻の中に「道頓堀の真斉橋に人形屋新六と言へる人、手細工に獅子笛あるいは張貫の虎、またはふんどしなしの赤鬼、太鼓もたぬ安神鳴これみな童子たらしの様に…」とあって、張貫(=張子)の虎が人形屋で作られ、子どもに喜ばれている様子がわかります。

『江都二色』(北尾重政著/安永2・1773年刊)に描かれた張子の首ふり虎

●虎には、邪気を払う強い霊力があると信じられていたことから、災厄を除ける守りとして、また子どもの健康を願う節句飾りとして、全国各地で流行し、今も日本各地の張子屋や土人形の産地で、様々な種類の虎玩具が作られています。

『うなゐの友』(清水晴風・西澤笛畝著/明治~大正時代)に描かれた虎の郷土玩具

本展で展示する虎の多くは、昭和初期に「日本一の虎玩具収集家」として有名だった故・長尾善三さんの虎玩具コレクションです。当館は、長尾氏のご家族から、平成9(1997)年に、1000点に及ぶ資料の寄贈を受けており、平成10(1998)年の寅歳に展示したことがありましたが、今回、12年ぶりの公開となります。

娘さんと虎に囲まれ満面の笑顔の長尾善三さん

●長尾善三氏は、明治35(1902)年、寅歳の大阪生まれ。二十歳の頃、大阪の「神農さん」の祭礼で小さな張子の虎を買ったのをきっかけに収集を始められ、昭和49(1974)年に72才で亡くなるまで、虎玩具集めに熱中されました。長尾コレクションの中心は、昭和13(1938)年の寅歳前後に収集されたもので、戦火や震災をくぐりぬけ、70年以上の歳月を生きてきた虎の玩具たちです。これらの中には、第二次世界大戦によって廃絶した、広島や大阪の張子の虎をはじめ、現在では作られていない産地のものが多数含まれており、また戦前の資料が残されることは稀であるため、質・量ともに「日本一の虎玩具コレクション」と言っても過言ではありません。コレクションの内容は、全長1メートルもある大型の虎から、豆粒大のものまで、産地は、青森から沖縄まで全国各地、さらに中国や朝鮮半島、インドネシアなど、東南アジア諸国に及んでいます。

戦火によって廃絶した貴重な広島張子・首ふり虎(昭和8年に長尾さんが収集された品)

本展では、長尾コレクションと当館独自の虎玩具コレクションの中から、500点を選び、「虎の玩具・お国めぐり」として、地域ごとに特徴ある資料を紹介します。

展示総数  約500点

虎の玩具・お国めぐり

 江戸時代の終わり、庶民階級が経済力を持ち、農村部にも商品経済が広がっていく頃になると、土や木や紙など身近にある材料を使って、専門的に、また農閑期を利用して季節的に素朴な玩具が作られるようになります。これらは郷土という範囲で流通したものが多く、今日、郷土玩具の名で知られています。人々の生活の中から生まれ、愛されてきた郷土玩具は、子ども達を喜ばせる玩具というに留まらず、郷土の信仰や伝説、美意識や幸福感を表現した小さな造形といえます。このコーナーでは、東北、関東、甲信越、中部・東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄と地域ごとに展示します。

会津張子・虎車(福島県会津若松市/昭和10年代)
中部東海の虎 
関西の虎
貴重な大森麦わら細工の虎(昭和初期/東京都)

豆虎集合

 神社からの授与品など、日本各地で作られた小さな虎を集めました。特に毘沙門天を祀る寺院では、初寅の日に祈祷絵が行われ、善男善女の参詣で賑わいます。当日は、寅などの授与品が売られ、人気を呼びました。長尾氏が、大正10年から、毎年のように収集してこられた大阪道修町の「神農さんの虎」も、ずらりと展示します。

大阪神農さんの虎 大正10年から昭和40年代まで、長尾さんが集め続けておられた品々
長尾さんの収集品第一号となった神農さんの虎(大正10年)

大虎集合

 長尾コレクションの中から大型の虎を集めて展示しました。最も大きいのは、昭和12(1937)年、長尾さんが500番目のコレクションを記念して求められた大阪張子です。どの大虎も、四方八方に睨みを利かせる虎の威力が、首ふりの動作と躍動感ある姿態によく表現されています。

各地の首ふり虎集合
亀戸張子の虎(東京都/昭和10年代)

アジアの虎玩具

 長尾コレクションには、中国を中心に東南アジア各国の虎玩具が含まれています。特に中国では、「老虎」あるいは百獣の王として敬い、開運出世の守り神とされてきました。また、「端午の虎、五毒を踏みしめる」といって、端午の節句の邪気払いに欠かせない動物でした。このコーナーでは、中国をはじめ、朝鮮半島、インド、インドネシア、ミャンマーなどの珍しい造形をご紹介します。

アジアの虎玩具(韓国・中国・ミャンマー・インド)