日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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企画展

夏のテーマ展 「七夕の人形と馬」

会期
2002年6月22日(土) 2002年8月20日(火)
会場
2号館L字コーナー

七夕の夜、短冊に願い事を書いて笹竹につるし、屋外にたてて天の川をのぞむ習俗は、今でも日本各地でみられます。七夕の棚に胡瓜や茄子の動物を供え、子ども達が天の川で巡りあう牽牛星と織女星を探す風景は、日本の夏の風物詩です。

七夕の習俗は中国から伝来し、万葉の昔から日本人に親しれてきましたが、千年の時をこえる歴史の中で、祖霊祭としての「盆行事」や初秋における「豊作祈願」などと結びついて日本的な夏祭りへと発展をみます。いつ七夕を祝うかや行事のあり方には地域による違いがあり、飾り物やその扱い方も一様ではありません。

この小テーマ展で今回ご紹介するのは、夏越の祓の「ヒトガタ」にも似た紙の七夕人形や川に生える真菰(まこも)で作る馬の造形。高度経済成長期を境に一気に廃れ、今では大変めずらしくなりましたが、郷土色豊かな飾り物の色々です。約50組を展示します。


<姫路の七夕人形と七夕の船>………姫路では市川が播磨灘に注ぐ地方に「七夕さんの着物」という男女一対の素朴な紙人形が伝わっています。竹ざおを人形の袖に通して飾られ、子どもが着物に不自由しないように願われました。飾るのは8月6日夕刻からで、翌朝には川へ流されます。

また、姫路市の港町・飾磨を中心とする地域には、昭和中期頃まで七夕の船が見られました。天の川を渡る二星を運ぶ乗り物、あるいは盆を迎えるにあたっての精霊船とも考えられます。笹飾りと共に、8月6日の夕刻に飾られました。

生野の「七夕さん」(明治末~大正期)

<松本の七夕人形>………松本の七夕人形は、男女一対の紙雛型や木製で着物を着せて飾る人形、流し雛型の紙人形など数種類があり、全国的に知られています。人形を飾る日は、ひと月遅れの8月7日前後、木や紙で作られた男女一対の人形は、子どもが初めて七夕を迎える祝いとして、親戚や近所から贈られ、着物を着せかけると、風通しのよい軒に吊るして飾られました。子どもの成長や健康を願い、また着物が増えるようにと祈りながら。

七夕人形・着物かけ型(明治時代)
迎え馬(平成初期)
七夕人形・流しびな型(昭和後期)


<関東の七夕馬>………牽牛・織女の二星が巡りあう時、その背に乗せて天の川を運ぶ七夕の馬が各地で作られてきました。関東地方を中心に、真菰、藁、菅などで男女一対の馬を作ってお供えし、牽牛・織女の再会を祈ります。

埼玉県上尾市に伝わる七夕のまこも馬(1999年尾崎撮影)


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同時開催の企画展 → 夏の企画展*2002「メルヘンのおもちゃ・セヴィの世界」