展示・イベント案内
exhibition夏の企画展 「メルヘンのおもちゃ・セヴィの世界」
- 会期
- 2002年6月29日(土) 2002年9月10日(火)
- 会場
- 1号館
■後援 駐日イタリア大使館
■協力 株式会社ファミリア
●日本玩具博物館では、世界の玩具収集を開始した1979年頃より、イタリア北部で作られるセヴィ(Sevi)社の玩具に注目してきました。それらは、玩具を使う子ども達に対する誠実な姿勢が感じられる作品群です。紐をひくと、人形が手足をバタバタさせるジャンピング・ジャック、車を転がすと口がパクパク動く動物車、丸い顔の愛らしい天使たち、平行棒を回転するピエロ、手のひらの中に収まる小さな町作りセット…。セヴィの玩具にふれると、目の前にメルヘンの世界が広がります。
●セヴィ社がジョセフ・アントン・セノネール(Josef Anton Senoner)によってドロミテ渓谷の小さな村オルテッセに設立されたのは1831年のこと。ドロミテ地方は著名な観光地ですが、雪に閉ざされた冬の間、農民たちの木彫りが盛んで、その技術を母体にしてセヴィ社は生まれました。社名は、彼の息子ヴィンゼンツ・セノネール(Senoner Vinzenz)に由来しているといいます。
●以来、170年の長きにわたり、セヴィはドロミテ地方の豊かな森林から生まれた木製玩具にこだわり続けてきました。セヴィが設立された頃、この地方はオーストリア領に属していたため、玩具デザインの基本には、中欧の木製玩具に通じる雰囲気が感じられます。
●初期の頃は手彫りの玩具が、やがてロクロを使った丸いフォルムの玩具が、工場で量産されるようになってからも伝統のデザインと近代性の調和を考えた玩具が作られてきました。また、材料には間伐材を、絵の具には有機的な顔料を、パッケージには再生紙を使用するなど、地球環境を考えた生産にも配慮がなされてきました。
●1990年代に入り、布製玩具や著名名デザイナーたちとのライセンスビジネスにも意欲を見せ、世界的な展開を試みましたが、残念なことに1999年、経済的な諸事情により、セヴィ社は社名を他社に譲渡した上、同地における玩具製作を中止してしまいました。表情のかわいらしさで世界中の子どもたちに愛されたセヴィの玩具も、残念ながら、過ぎ去った20世紀の玩具文化となってしまうのでしょうか。
●本展では、こうしたセヴィ玩具の数々を、その特徴に焦点を当てながら、いくつかの項目によって展観します。「セヴィ玩具の移り変わり」「人形あそび」「動く玩具・転がす玩具」「乳幼児の玩具とオルゴール」「生活道具と玩具」「ままごとあそび」「乗り物玩具」「積み木と町づくり」「クリスマスの玩具」の9項目で350点。―――無駄のないシンプルな形でありながら、触れるものの心を和ませる温かさをもったセヴィ玩具の魅力をお楽しみ下さい。
■展示総数 約400点
①「セヴィ玩具の移り変わり」………セヴィ初期の頃の木彫り玩具(復元)、1980年代に日本で人気を呼んだ丸いフォルムとパステルカラーのセヴィ、1990年代に登場した布製のセヴィ、画家たちとの協働で誕生した近年のセヴィなど、時代の移り変わりに注目します。
②「人形あそび」………紐をひくと、手足をバタバタ動かす「ジャンピングジャック」は19世紀から続くセヴィの定番。ピエロ、ピノキオ、水兵など、すべて手描き仕上げのマスコット人形です。人形劇の玩具なども展示します。
③「動く玩具・転がす玩具」………ついばむ鶏、体操人形、バランス人形、ビックリ箱、メリーゴーランド、回転人形など、単純な仕掛けの動く玩具や、車を転がすと楽しい動きをする動物ぐるまのいろいろを。
④「乳幼児の玩具とオルゴール」………動物の形の小さながらがらや歯がため、ベットにつるすがらがら、やさしいメロディーのオルゴールなど、乳幼児に安らぎを与え、心に健康をもたらす玩具の色々を紹介します。大きさや形、色、音、手触りはもちろん、衛生面や安全性にも十分な配慮がなされた作品群です。
⑤「生活道具と玩具」………紐を通したり結んだり、ネジを締めたり緩めたり、乗り物や動物を組み立てたり崩したり……生活道具を使って遊ぶ玩具は、子ども達の興味を引き出しながら手先の器用さを養っていきます。文房具などを楽しく使う工夫にみちた作品もあわせて展示します。
⑥「ままごとあそび」………小さなキッチン、小さなリビング、小さな病院、小さなデパート…ミニチュアの道具と人形を動かしながら、子ども達が自ら想像の世界を広げ、やがて社会とつなががっていく「ままごと遊び」や「ごっこ遊び」の玩具をまとめて紹介。
⑦「乗り物玩具」………汽車や電車などレールを走る乗り物、消防自動車、ダンプカー、ローラーカー、ショベルカーなど働く車など、セヴィ・デザインの面白さに注目します。
⑧「積み木と町づくり」………白木の積み木、パステルカラーに彩られた積み木、積み木をのせた馬車、小さなピースを組み合わせて思い描く町を作る積み木など、想像性を育む木製ピースの数々を展示します。
⑨「クリスマスの玩具」………丸顔の天使や食卓のキャンドルスタンドなどセヴィが子ども達に送るクリスマス・メルヘンの世界の一端を紹介します。
<謝辞>
本展の開催にあたり、(株)ファミリア(本社:兵庫県神戸市)様には、セヴィ社の玩具について様々なご教示を賜わり、また多くの資料をご提供いただきました。
(株)ファミリアでは、故・坂野通夫会長が中心となられて、セヴィ社の玩具を積極的に輸入し、長年にわたり、日本に紹介してこられました。良質な玩具の普及に尽力された皆様に敬意を表し、ここに厚く御礼申し上げます。
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前の企画展 → 春の企画展2*2002「江戸と明治のちりめん細工」
同時開催のテーマ展 → 夏のテーマ展*2002「七夕の人形と馬」
次の企画展 → 秋の企画展*2002「日本の祭りのおもちゃ」