「十二支の動物造形」 | 日本玩具博物館

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企画展

冬の企画展 「十二支の動物造形」

会期
2011年11月19日(土) 2012年2月14日(火)
会場
1号館

「十二支」は、中国で後漢時代に誕生した暦法で、十二宮のそれぞれに十二の動物をあて、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥を時刻および方角の名としたものです。この中国における「十二生肖」が日本に伝えられたのは応神天皇の頃といわれ、日本でも非常に古い伝統を持っています。江戸時代には既に、生まれ年にあたる動物の性質がその人の性格や運勢などに関係するという信仰、自分の生まれ年に因んだ動物をお守りにする習俗などが見られ、日本の郷土玩具はこうした民間信仰を母体に誕生しました。

この十二支の中でも、特に日本人に親しまれて人気のあるものとそうでないものがみられます。馬、牛、猿、鶏、鼠、兎などは、古くから正月の縁起物や玩具に数多く用いられてきました。それに対して蛇、龍、羊などは、日本の風土になじみが薄かったり、庶民の世界で歓迎されない動物であったりして比較的数が少ないものです。
本展では、日本各地で手作りされた十二支に関わる郷土玩具や縁起物を、干支の順を追って展示し、その造形を通して人々が十二の動物に託した願いについて紹介します。本場中国に伝承される十二支の玩具をあわせて展示総数350点。日本の動物造形の基本を探る楽しい展覧会です。

展示総数 約350点

展示風景 子・丑の郷土玩具

子(ねずみ)

 鼠は、繁殖力の強さから繁栄のシンボルとして愛されてきました。大黒天や米俵との組み合わせも多く、農村では豊作をもたらすマスコットと考えられてきました。

丑(うし)

 かつて牛は農耕には欠かせない動物でした。牛には、もくもくと働き、穏やかで力強いイメージがあります。ともに農耕に恵みをもたらす存在として、天神との組み合わせもよく知られています。

俵牛(石川県金沢・京都府伏見など)

寅(とら)

  勇猛果敢な虎の姿が男の子の理想と考えられ、端午の節句飾りに花を添えてきました。
「端午の虎、ご毒を踏みしめる」という言葉が中国にありますが、虎が辟邪の霊力を持つという庶民信仰は、中国からの影響です。

虎の郷土玩具

卯(うさぎ)

  今日、優しくかわいいイメージで子どもに人気のある兎も、かつては豊かさの象徴として造形されていました。昔話や伝説に登場する兎を形象化した玩具も多く、月との深いつながりから女性の守りとする庶民信仰もありました。

兎の郷土玩具

辰(たつ)

 想像上の動物である竜は、水を司る神としての信仰から、様々な造形が工夫されてきました。皇帝の象徴として重要視された中国とは異なり、日本庶民の中ではあまり親しまれてはおらず、十二支の中では造形物の少ない動物です。

小幡の玉とり姫(滋賀県東近江市)・三春の辰車(福島県郡山市)・福竜(山梨県甲府市)

巳(へび)

 竜と同様、水神のイメージをもっています。蛇の郷土玩具は、水あたりや虫害を防いだりするまじないとされた例もみられます。

白い蛇の郷土玩具

午(うま)

日本人と馬との関わりの強さを表して、馬の郷土玩具はもっとも多彩です。愛馬の守りとして、また神社への捧げものとして、馬は日本各地で愛されてきました。

馬の郷土玩具

未(ひつじ)

 羊という動物が日本人にとってあまり馴染みがなかったせいか、玩具化するにも苦心のあとがうかがえます。どれも優しいイメージでとらえられています。

羊の郷土玩具

申(さる)

 厄病や悪霊をとり去る(=サル)動物として、猿の郷土玩具は子どもの疱瘡よけのまじないなどに古くから親しまれてきました。素朴で童心にあふれています。

猿の郷土玩具

酉(とり)

 日本人にとって鶏は大切で愛すべき家禽です。夜のとばりを破り、朝の光を招く希望のイメージにより、魔よけや幸福をもたらす鶏の玩具が盛んに作られてきました。

鶏の郷土玩具

戌(いぬ)

 犬は昔々から人間とともにあって、夜の外敵や悪霊を追い払い、子どもを守る力があると信じられてきました。その力強さを子どもに移し、また犬の霊力で子どもの健康や幸福を守ろうという願いから、人々は犬の玩具を子どもに与えてきました。

犬の郷土玩具

亥(いのしし)

気迫、力強さを表す動物として玩具化されてきましたが、十二支の動物の中では、やや目立たぬ存在です 。

猪の郷土玩具

年賀状の中の干支のデザイン

 このコーナーに展示するのは、郷土玩具収集家として著名な故・村松百兎庵氏のもとに届いた年賀状が整理された冊子です。大正末期から昭和初 期にかけて活躍した郷土玩具収集家をはじめ、彼と親交のあった文人たちの名前が数多く見え、賀状には当時の豊かで質の高いデザイン感覚が伺えます。

大正末~昭和10年代の年賀状 十二支


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