「アフリカのおもちゃと造形」 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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企画展

秋の企画展 「アフリカのおもちゃと造形」

会期
2005年9月10日(土) 2005年11月15日(火)
会場
1号館

日本玩具博物館では、これまでに「ヨーロッパおもちゃ紀行」「アジアの国のおもちゃ」「太陽の大陸・ラテンアメリカのおもちゃ」など、地域をテーマに当館の「世界の玩具コレクション」を総覧する企画展を催してきましたが、今秋はアフリカをとりあげ、人形や玩具、造形物を通して、各地の民族が伝える自然観や宗教観、美意識などを紹介します。

アフリカ大陸は、大航海時代以降、20世紀に至るまでにポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギーなどヨーロッパ諸国の支配を受け、そのことによって有史より長く続いた有形無形の土着文化にヨーロッパ文化が混交し、あるいは屈折して融合し、ひと口にアフリカと言っても、国ごとに異なった文化的様相を見せています。          

民族人形(スーダン・モロッコ・エチオピア)

20世紀初頭、フランスの植民地となったアフリカの領土から持ち帰られた仮面や神像に出合ったピカソやミロ、クレーなどの前衛芸術家達は、芸術を意図しない生命力溢れる造形に衝撃を受け、自らの作品の中にアフリカ的造形観を反映させていったと言われています。ヨーロッパで「プリミティブ・アート」、日本の民芸世界で「美の始源体」とも呼ばれるアフリカ造形の中から、本展では、各国の神像、祖先像、仮面、動物造形、生活道具、玩具と人形、遊戯具、楽器を取り上げ、地域ごとに紹介します。

サンブルの土の造形・象(ケニア/1980年代)

アラブ・イスラム色がよく表われたエジプト、チュニジア、モロッコなどの「北アフリカ地域」の造形、祖先像や神像などが豊富に見られるギニア湾沿いの「西アフリカ地域」の造形、民族造形を広く世界に向けてアピールするタンザニアやケニアなど「東アフリカ地域」、造形物の中に民族的なアイデンティティーを追求する「中・南部アリカ地域」に分けて展示します。また、遊戯具や楽器を紹介するコーナーでは、アフリカ大陸全体の特色を探っていきます。

展示総数350点の玩具や造形を通して、普段あまり接する機会のないアフリカの国々について想いをはせていただければ幸いです。

旧ザイール(コンゴ)の風俗人形・ゴブレット型ドラム(エチオピア)・ヒョウタンのドラム(ナイジェリア)


①北アフリカ地域の造形

公用語はアラビア語が中心、イスラム教が主な宗教となっており、アラブ文化が根強い地域です。様々な生活場面に登場する人々を豊かな表現した風俗人形、山羊皮を使った動物のぬいぐるみ、ヨーロッパとのつながりを感じさせる砲弾型のコマ、ままごと道具など、エジプト、チュニジア、モロッコなどの資料を紹介します。                        

北アフリカ 展示コーナー
竜頭船(エジプト/2000年代)


②西アフリカ地域の造形

多産の守りとしてセヌフォ族に親しまれているカラオ鳥の木彫(マリ・コートジボアール)、安産の守りとしてアシャンティ族に伝わるアクアバ神像(ガーナ)、身分や種族を証明するテラコッタのパスポート・マスク(カメルーン)をはじめ、土着信仰に根ざした彫像や仮面が豊かな地域です。20世紀初頭、アフリカ大陸の全域が、ヨーロッパ帝国主義列強によって支配を受けましたが、この地域は、フランスとイギリスによって分割支配されたため、公用語には主に英語と仏語が話されます。
コートジボアールのバウレ族やガーナのアシャンティ族、ファンティ族、ナイジェリアのヨルパ族などの諸部族は、「コロン人形」と呼ばれる西洋植民者達の衣装を身につけた自画像を製作しています。
一方、近年になって、マリやブルキナファソなどの国々では、木やブリキ、針金などを利用して乗り物や動物を造形し、玩具としても、暮らしの中のアートとしても愛される商品を作り始めました。この地域では、そのような近代玩具も見どころの一つとなっています。

西アフリカ 展示コーナー


③東アフリカ地域の造形

タンザニアやケニア、エチオピアなどのインド洋に面した国々の造形物は、日本でも比較的よく紹介されてきました。土や木、動物の毛皮などの他にも、バナナの木の皮、トウモロコシの皮、麻の繊維など、植物素材を活用した人形や玩具が目立ちます。この地域では、マサイ族の木彫像や動物造形(ケニア)、サンブルの土人形や動物造形(ケニア)、伝統的な木彫の手法を生かしたヤジロベエや乗り物玩具、また動く玩具の数々(タンザニア)が見どころです。

東アフリカ 展示コーナー
ダウ船(タンザニア/1980年代)


④中・南アフリカ地域の造形

ベルギーに支配を受けたザイール、ポルトガルに支配を受けたアンゴラやモザンビーク、イギリスに占領されたザンビア、ジンバブエ、南アフリカなど様々な国々があります。成人式の仮面舞踊を表したマキシ・ドール(ジンバブエ・ザンビア)やミンガンジ人形(旧ザイール)が見どころですが、地域の女性支援と授産のために伝統を生かして作られ始めたビーズワークやぬいぐるみの民族人形や動物(南アフリカ・スワジランド)、グザと呼ばれる木皮の繊維を編んだショナ族の子守人形や動物造形などにも面白いものがあります。
また、インド洋に浮かぶマダガスカル島は、「アフリカの中のアジア」と呼ばれるように竹の造形物が目立ちます。ここでは、近年になって収蔵したマダガスカル島の玩具と造形をあわせて紹介します。              

中南部アフリカ 展示コーナー
ついばむ孔雀(マダガスカル)を動かしてみる
木彫のヤマアラシ(ジンバブエ/1990年代)


●アフリカの楽器

宗教儀礼の中で神や精霊と語らうために、また生活の楽しみとして奏でられる音楽は、今もアフリカ大陸のあちこちで豊かな音色を響かせています。ここでは、シェケレやマニャンガと呼ばれるガラガラ、竹笛や葦笛、ゴブレット型、樽型、鼓型など様々な形と音色をもった太鼓の色々、ハープに似た弦楽器の色々、親指で弾いて音を出す親指ピアノの色々を、「振りもの」「すりもの」「弾きもの」「吹きもの」「叩きもの」と、音を出す行為によって分類し、まとめてご紹介します。

楽器 展示コーナー


●アフリカの遊戯具

このコーナーでは、アフリカで古くから遊ばれてきたマンカラやワリ(ブルキナファソ)、ヨーロッパ文化の影響を受けてアフリカ全域に普及したチェス(チュニジア・タンザニア・ケニア・ナイジェリア)、ポーカー・ゲームやダイヤモンド・ゲームなど、各国の遊戯具を集めて紹介します。特にチェスの駒には、西洋にはないアフリカ各地の風俗が織り込まれ、非常に興味深い造形が見られます。

アフリカの盤上遊戯具 展示コーナー(ナイジェリア・チュニジア・タンザニア・ケニア)


<会期中の催事>
展示解説会
  日時=10月9日(日)・23日(日)・11月3日(木/祝)・13日(日)
             ※各回 14:00~ 45分程度 
アフリカ大陸の音色とリズムを楽しむ演奏会
  1回目 親指ピアノ「ムビラ」の音色・・・・10月30日(日) 13:30~
  2回目 西アフリカの太鼓「ジャンベ」「ドゥンドゥン」の響き
                   ・・・・11月6日(日) 13:30~


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