日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

特別展

夏秋の特別展 「神戸人形と世界のからくり玩具」

会期
2016年6月18日(土) 2016年10月23日(日)
会場
6

からくり玩具といえば、精巧な江戸時代の茶運び人形やゼンマイ仕掛けのディスプレイ・ドールなどが想い起されますが、本展でご紹介するのは、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカの各国から集まった、仕掛けも大変シンプルな玩具の色々です。

車を動かすと動物や人形が意外なしぐさをする玩具、オモリをゆらすと糸が引っ張られて楽しい動きをする玩具、重力そのままに物がころがり落ちる玩具、回転させることでユニークな動きをする玩具…。動く仕組みに焦点をあてて、そうした玩具を分類してみると、よく似た仕掛け玩具が世界中で作られていることに気付きます。またそれらをよく見ると、玩具の素材やテーマにはお国柄がよく表現されていることに驚かされるのです。

世界のからくり玩具展示風景

本展では、日本のからくり玩具の代表として「神戸人形」をとり上げます。「神戸人形」は、明治時代中頃に神戸で誕生したからくり人形です。台の上の人形が手を動かし、首をふり、大きな口をあけて西瓜を食べたり、酒を飲んだり…。その滑稽な動きと繊細な仕掛けは、神戸っ子だけでなく、神戸を訪れる外国人観光客の人気をさらいました。実際、明治から昭和初期にかけて作られた神戸人形は、アメリカやヨーロッパの各地に多く残されています。

明治時代の神戸人形は、柘植(つげ)などの材料が使用され、木肌の美しさを強調した作品が多く、そのはじめは「お化け人形」あるいは「布引人形」(観光地・布引の滝で売られていたため)とも呼ばれていました。やがて全体が黒く塗られるようになり、その様式が整っていく大正から昭和初期には「神戸人形」の名前が定着していきました。

神戸人形展示風景

神戸人形の作者として分かっているのは、初代の野口百鬼堂、二代目と目される出崎房松、昭和初期に神戸人形を有名にした小田太四郎、そして戦後、数百種に及ぶ神戸人形を精力的に製作した数岡雅敦です。阪神淡路大震災を経て廃絶状態となっていましたが、平成15年より日本玩具博物館では、「西瓜喰い」や「酒のみ」などの復元製作を行い、次代につないでいく活動を行っています。

本展では、「神戸人形」と動かして楽しい玩具の色々を世界約40カ国から一堂に集め、約800点の作品を通して、玩具の中にみられる人間の知恵と奇知について考えてみたいと思います。

展示品総数 800点

   

第一部 世界のからくり玩具

世界約40国より素朴な仕掛け玩具を集め、「仕掛けのつまったおもしろ玩具」「糸や紐の仕掛け玩具」「オモリと糸の仕掛け玩具」「車とクランクの仕掛け玩具」の項目で、動く仕組みごとに分類して展示します。

仕掛けのつまったおもしろ玩具

つまみを動かすと、人形が拍手をしたり、牛が口を動かしたり、メリーゴーランドが回転したりする仕掛け玩具、 風を動力に音を立てながら回転する玩具などを紹介します。ブラックボックスをあけて、カムやクランクの装置を見せる玩具は、動く仕掛けのおもしろさと美しさを子ども達にわかりやすく提示する意図が込められています。

つまみをまわすと・・・。

糸や紐の仕掛け玩具

ここに展示するのは、部分と部分を糸や紐でつないだ玩具で、糸をひっぱったり、糸につながるつまみを動かしたりすると、思いがけない動きが楽しめます。人形劇に登場するあやつり人形や竹のバネを利用した玩具などが見どころです。左右の糸を交互にひっぱると、上へ人形がのぼっていくものやH型の下部を握ったり緩めたりすると、人形が体操する玩具など、世界各地で同じものが作られていて驚かされます。

物が移動するおもしろ玩具

ビー玉や木片などをレールやはしごの上から転がすもの、人形や動物が坂道をゆっくりとした歩調で下がっていくもの、つつきながら鳥がポールを下っていくものなど、重力を利用したおもしろ玩具のいろいろを紹介します。期待される動きと予期せぬ動きがあいまった物体移動の玩具は、小さな子どもたちに大変愛され、何時間も同じ玩具でくりかえし遊ぶ姿が見られます。ドイツ・エルツゲビルゲ地方で古くから作られている「でんぐり返し」人形は、オモリ(古くは水銀)の移動によって人形がでんぐりがえりながら階段を下りる面白い仕掛け玩具です。

オモリと糸の仕掛け玩具

糸につながるオモリをゆらすと、鶏が餌をついばんだり、人形が太鼓を叩いたり、クマがお手玉をしたりする愉快な仕掛け玩具です。ついばむ鶏は、ヨーロッパに古くからある伝承玩具ですが、近年になってアジアや中南米、アフリカ諸国でも民族色豊かなものが作られるようになりました。

世界各地のついばむ鶏の玩具

車とクランクの仕掛け玩具

車を転がすと、鳥がはばたいたり、兎が木琴を叩いたり、蛙が口をパクパク動かしたりする仕掛け玩具を集めて紹介します。中には車の回転運動を往復運動に変えるクランクの装置が使われているものもあります。紐をひっぱって車を転がすもの、長い棒を押して動かすものに分けられますが、いずれも歩き始めた幼児にとって歩くことを楽しくさせる玩具です。

車を転がすと・・・。

第二部 神戸人形

神戸人形は、土俗性のある郷土玩具とは性格が異なり、自己表現ともいえる現代的な感覚にあふれ、他に例を見ない独特の工芸玩具です。日本玩具博物館では、創始期から昭和中期頃までの600点に及ぶ作品を所蔵しています。この中には、ニューヨークやロンドンをはじめ、欧米の都市から里帰りしてきた作品が数多く含まれます。また、神戸人形愛好者から寄贈を受けた製作者に関わる調査資料や写真、神戸人形の絵図や写真パネル、また参考図書などの貴重な資料も合わせて所蔵しています。

神戸人形・船上浄瑠璃語り(数岡雅敦作/昭和50年代)

このゾーンでは、歴代の神戸人形を一堂に集め、資料とともに明治・大正・昭和・平成…と神戸人形100年の歴史をたどります。また、神戸人形にみられる仕掛けに焦点を当て、奇抜な動きを可能にするからくりの妙をご覧いただきます。

第一章 神戸人形の創始

明治30年代頃に作られ始めたと考えられる野口百鬼堂の “お化け人形”(ツゲの木肌の美しい)や人形を黒く塗り始めたとされる出崎房松の神戸人形を中心に展示します。

野口百鬼堂の神戸人形・夕涼みのおばけ(明治後期)
出崎房松の神戸人形展示コーナー
創始期、幻の作者の神戸人形の顔

  

第二章 神戸人形の興隆

大正から昭和初期にかけて、神戸人形の様式を完成させ、外国人観光客に向けてカタログ販売なども行っていた小田太四郎商店の神戸人形を資料とともに展示します。

小田太四郎の神戸人形
小田太四郎の神戸人形展示コーナー

第三章 神戸人形の再現

戦争の混乱によって一旦、途絶えた神戸人形、その再現にとり組んだ数岡雅敦の神戸人形を一堂に展示します。昭和30~40年代の作品から昭和50年代後半、ポートピア’81によって脚光を浴びた頃の作品を合わせて200点の神戸人形をご覧いただきます。
また同じ時代、長く神戸の玩具店として親しまれた「キヨシマヤ」や神戸の民芸店「神戸センター」が独自に製作販売していた神戸人形、そして、平成15年以降、日本玩具博物館が復刻した神戸人形、さらには現在の神戸人形製作者・吉田太郎氏(神戸市在住)の作品を資料とともに展示します。

数岡雅敦の神戸人形展示コーナー
ウズモリ屋・吉田太郎の神戸人形(平成28年)