日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

展示・イベント案内 exhibition

特別展

春の特別展 「雛まつり~江戸と明治のお雛さま~」

会期
2021年1月30日(土) 2021年4月11日(日)
会場
6号館東室

春恒例となった雛人形展は、500組をこえる日本玩具博物館の雛人形コレクションの中から、様々な時代や地域の雛人形をとり出して展示し、雛飾りの多様な世界を紹介する試みです。今春は、飾りの形態や様式が整えられていく江戸時代後期から明治時代をとりあげ、江戸(東京)や京阪の町家で飾られていた雛人形と雛道具を一堂に展示します。

雛人形につながる人形の起源は遠く平安時代にさかのぼりますが、3月3日の上巳(じょうし)の節供(句)に雛遊びを行ったり、雛人形や雛道具を贈ったり、また雛人形を飾ったりするようになったのは江戸時代に入ってからのことです。
江戸前期(17世紀後半)の雛飾りは、数対の立ち雛や座り雛を毛氈の上に並べ、背後に屏風を立てた平面的な形態で、調度類も数少なく簡素かつ自由なものでした。町家の室内で思い思いに雛人形を飾って楽しむ様子が文献の絵図などからも窺えます。

雛人形は、発達する過程において数々の様式が生まれ、のちに寛永雛、元禄雛、享保雛などと元号を冠した呼び名がつけられましたが、主に京の人形師が製作を担っていました。江戸の庶民文化が興隆し始める江戸後期(18世紀後半)になると、江戸の人形師の手で作られた「古今雛」が登場して江戸っ子の人気をさらいます。人形の顔は面長で、硝子玉や水晶玉を目に埋め込む“玉眼”の手法を用い、浮世絵から抜け出たような生き生きとした表情とゆったりとした座り姿が特徴でした。

「源氏十二ヶ月之内弥生」 安政年間ごろ 三代歌川豊国
江戸で人気を博した「古今雛」(江戸後~末期)

この影響を受けて、“京阪型”の古今雛が創作され、19世紀に入るころには、近畿圏で広く愛好されるところとなります。京阪型古今雛は、人形の頭も衣装の佇まいも江戸とは異なり、公家風の静かな表情が特徴的。江戸紫色や浅葱色など、渋い色調の衣装を用いた江戸に対して、京阪地方では緋色や常磐色など、従来の色調が好まれました。幕末ごろ(19世紀半ば)には、京阪型古今雛にも玉眼が用いられるようになり、古今雛の様式は後世へと受け継がれていきます。

京阪地方でも作られ始めた古今雛(文化年間・1845~48年)

飾り方の様式については、江戸を中心に「段飾り」が発展する一方、京阪では「御殿飾り」が優勢でした。建物の中に内裏雛を置き、側仕えの官女、庭掃除や煮炊きの役目を果たす仕丁(三人上戸)、随身などの人形を添え飾るもので、御殿を京の御所に見立てたところから、桜・橘の二樹も登場してきます。御殿飾りは明治・大正時代を通じて京阪神間で人気があり、戦後には広く西日本一帯で流行しましたが、昭和30年代中頃には、百貨店や人形店などが頒布する一式揃えの段飾り雛に押されて、徐々に姿を消していきました。

御殿飾り雛(明治30年代前半ごろ)
「雛まつり」2021――明治時代の雛飾り展示風景

本展では、江戸・明治時代の享保雛と古今雛、明治時代の段飾りと御殿飾りの代表的な品々を紹介いたします。江戸(東京)と京阪の雛人形や雛飾りの様式の違いにもご注目いただき、百年前、二百年前の人々が描いた憧れの世界に思いを巡らせながら日本玩具博物館の雛まつりをお楽しみ下さい。

 展示総数  約30組 450点

「雛まつり」2021――江戸時代の雛飾り展示風景

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