日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内 exhibition

特別展

開館30周年記念◇春の特別展 「御殿飾り雛の世界」

会期
2004年2月11日(水) 2004年5月25日(火)
会場
6号館

雛飾りに人形や諸道具を飾るための雛段が見られるようになったのは江戸時代のことです。初期の頃は、毛氈などの上に紙雛と内裏雛だけを並べ、背後に屏風を立てた平面的な飾り方で、調度類も数少なく、簡素かつ自由で、各自思い思いに飾って祝う様子が、文献にあらわれる絵図から伺い知ることができます。

雛祭りが盛んになるにつれて、雛人形やそれに付随する添え人形、諸道具の類も賑やかになり、雛段の数も次第に増えていきます。安永の頃(1772~81)には、4~5段のものが現れています。江戸末期には、雛飾りの様子は豪華かつ複雑ものへと発展し、天保の頃(1830年頃)の都市部では、今日以上といってよいほどの段飾りがなされるようになりました。               

そうして江戸を中心に「段飾り」が発展する一方、京阪地方では、江戸末期になって、「御殿飾り」が登場します。京都では、上段に内裏雛を飾る雛の館を御殿といいますが、その中に一対の雛を置く形式を御殿飾りと呼び習わして、昭和30年代まで西日本一帯で流行しました。御殿は、御所の紫宸殿(ししんでん)になぞらえたものと思われますが、華やかな貴族文化への憧れが育んだ復古的な雛飾りです。御殿の屋根をもうけない「源氏枠飾り」は、源氏物語の吹き抜き屋台風の優雅な雛飾りで、大正末期の頃まで、御殿飾りと並んで人気がありました。

本展では、かつて一世を風靡した御殿飾り雛を時代を追って紹介します。また、江戸後期から昭初期までの代表的な雛人形を展示して、その表情の移り変わりをたどります。展示総数約50組の華やかな展覧会です。

百貨店調製の御殿飾り雛(大正末期)

展示総数 約50組


江戸から明治時代の雛人形

衣裳を着せた座り姿の雛人形は、江戸時代中頃から次第に豪華なものとなり、京都と江戸を中心に雛をつくる産業も発達していきました。雛人形は、製作された時代の様式によって、元禄雛、寛永雛、享保雛、有職雛、次郎左衛門雛、古今雛などの呼び名がありますが、いずれも毛氈の上に内裏雛を並べ、背後に屏風を立てた「屏風飾り」が基本になっていました。

享保雛(江戸後期)


明治時代の雛人形は比較的大型の古今雛が一般的ですが、今日のように、内裏雛、三人官女、五人囃子、随身、仕丁の人形や諸道具類が一式として売られていたわけではありません。家々では、女児の初節句を祝い、人形問屋や雛道具屋から気に入った品物を買い集め、思い思いに「段飾り」にして祝っていました。嫁入の折に持参した雛に、女児が生まれれば買い足したりするので、時代の違う人形や道具が同居する段飾りも見られます。


御殿飾り雛~明治・大正・昭和~

京阪を中心に、御殿飾りが登場するのは江戸末期のことですが、本展では、明治から昭和の資料を通して飾り方の移り変わりをたとります。

◆明治時代の御殿飾り雛………明治時代に入ると、檜皮葺き(ひわだぶき)の大型のものも登場し、豪華さを極めます。重厚な御殿に貴族の暮らしを再現するように、雛人形の表情がいきいきと作られています。


◆大正時代の御殿飾り雛………大正時代には、百貨店などでそろえうりがなされるようになり、それとともに御殿も人形も小型化していきます。一般的に落ち着いた拵えの御殿に、様式化された人形や道具が配され、中には同一揃えの作品も見受けられます。


◆昭和時代の御殿飾り雛………昭和時代には、細部の飾りに凝った複雑で賑やかな御殿が表われ、京阪神から西日本を中心に流行します。昭和の御殿飾りは、名古屋や静岡など、東海地方で生産されたものが目立ちます。残念なことに、昭和30年代を境に姿を消し、今では、もうほとんど作られることはありません。


雛料理用の食器など

雛飾りは静的なイメージの祭りですが、かつては雛を飾った部屋に女児たちが集まって、人形と季節料理を共食したり、歌舞を繰り広げたり…と動的な要素も多く含まれていました。ここでは、江戸末期から明治時代に、実際に使用された小さな雛料理用の食器などを集めて展示し、人形飾りだけではない雛祭りの楽しみをふりかえります。


<展示解説会ご案内~桃の節句の雛人形をめぐる~>

6号館の「御殿飾り雛の世界」では、江戸時代後期から、明治・大正・昭和時代の雛人形の特徴とその移り変わりについて、展示品のひとつひとつを取り上げながらお話し致します。また1号館の「ふるさとの雛」では、大都市部の衣装雛の様式が各地にどのような影響を与えたかに焦点を当てて、お話し致します。下記の日程に6号館特別展示室へお集まり下さい。
  ●日時= 2月11日(水/祝)・22日(日)   14:00~
      3月7日(日)・14日(日)・21日(日)・4月4日(日)    11:30~/14:00~