日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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特別展

夏の特別展 「ドイツおもちゃ紀行」

会期
2005年6月25日(土) 2005年10月11日(火)
会場
6号館

後援 ドイツ連邦共和国総領事館 

2005年度は「日本におけるドイツ年」。日本各地でドイツ文化について理解を深める様々な催しが開かれています。当館では、この機会をとらえ、ヨーロッパを代表する「おもちゃ王国・ドイツ」について紹介したいと考えました。

当館におけるドイツ玩具のコレクションは、30年間の歩みの中で3000点を超え、その内容は、地域色豊かな民芸玩具と、教育や治療など科学的な概念のもとに生まれた近代玩具で構成されています。民芸玩具からは、ドイツが古くから伝えてきた美意識や宗教性などが伺え、一方、近代玩具には、デザイナーやトーイ・メーカーの玩具に対するとらえ方がよく表現されています。職人の技と精神の継承を図るマイスター制度によって玩具産業が高い専門性をもっていること、また玩具の中に子どもの成長発達に果たす役割を見いだし、その課題と向き合ってきた思想史があることは、ドイツの玩具をとらえる上で重要な視点です。

本展では、約1000点の資料を一堂に集め、2つの部屋に分けて展観します。「ドイツの郷土玩具と近代玩具」の部屋では、チューリンゲン地方、アルプス地方、エルツゲビルゲ地方の木製玩具、錫やブリキで作られた金属製玩具、近代思想に基づく教育玩具、トーイ・メーカーの近代玩具などのグルーピングでドイツの玩具の歴史をたどります。一方、「豊かな遊びをつくる玩具」の部屋では、玩具の機能と種類によるグルーピングで近代の木製玩具を紹介します。世界中に商業主義が吹き荒れる現代においてもなお、使い手である子ども達に誠実であろうとするドイツ玩具の数々を総覧する、楽しく見ごたえのある展覧会です。


第一章ドイツ郷土玩具近代玩具

ドイツの木製玩具・Ⅰ
~チューリンゲン地方の玩具・アルプス地方の玩具・おもちゃの町ニュールンベルク~
ゾンネベルクを中心とするチューリンゲン地方では、木製人形をはじめ、ペーパーマッシュ、陶器、蝋、ビスク、ガラスなど様々な素材の人形や玩具が作られた土地です。また、オーバーアマガウやベルヒテスガーデンなど南部のアルプス地方でも18世紀の頃から、動物、人形、木馬などの木製玩具が作られいました。これらは行商人によって、各地の市場へもたらされましたが、中世から近世にかけて、商品流通の中心地となっていたニュールンベルクは、各地の様々な玩具が集う大きな市が開かれる「おもちゃの町」として発展していきました。


ドイツの木製玩具・Ⅱ~エルツゲビルゲの玩具~
ザイフェン、グリューハイニッヘン、オーベルナウなどの「おもちゃ村」が点在するエルツゲビルゲ地方は、その名が示す通り、古くは鉱山で栄えた町でした。鉱石の枯渇による廃鉱後、人々はロクロを使った玩具を作り、近隣の町へ行商したり、ドレスデンやライプチヒ、ニュールンベルクなどの町々へ送ったりすることで暮らしを立てるようになりました。そうした村の歴史や風景をテーマにした物語性豊かな玩具や、クリスマスに登場する仕掛けのある燭台や煙だし人形などは、この地方の独創性と木工技術の高さをよく示しています。


ドイツの金属製玩具~錫の人形とブリキの玩具~
アンデルセン童話『錫の兵隊』で有名な指の長さぐらいの小さな錫製玩具は、ドイツでは18世紀後半に作られ始めました。動物や生活風俗、中世の騎士や物語の主人公などをテーマにした安価な錫人形は、想像力を働かせて空想の世界を作る喜びを満たす玩具として、庶民に大歓迎されました。磁器の優勢で仕事を失った錫製食器鋳造職人が多く居たニュールンベルグやフュルトなどが錫人形の中心的な産地でした。このコーナーでは、そうした小さな錫の人形に加え、ドイツの近代を代表するシュコ社やヘス社などのブリキ玩具も紹介します。


フレーベルやシュタイナーと教育玩具
ドイツは、特に18世紀以降、子どもの教育に関心をもって遊びと学びについての思想を打ち立て、その実践の場に登場する子どもの遊びや玩具について心をとめる教育思想家を輩出しています。中でもフレーベルは19世紀以降、ドイツの玩具作りに多大な影響を与えました。このコーナーでは教育思想に裏打ちされた玩具の色々を紹介します。


トーイ・メーカーの近代玩具
ドイツでは、古くから子どもの成長との関係をみすえた玩具作りがなされてきました。玩具の形や大きさ、手触り、色、多様性、耐久性、安全性などに注意を払い、子どもの精神にそれらが与える影響が研究されています。デシュマ社、ベック社、ハバ社、ケラー社、ヴァルター社、セレクタ社など、トーイ・メーカーが作る近代の木製玩具を紹介します。


第二章豊かな遊びをつくるおもちゃ

はじめて出うおもちゃ~がらがら・モビール・ぬいぐるみ~
ベッドの周辺に吊り下げるものや手にとって振り動かすもの。がらがらや歯がため、モビールなどがこれにあたり、玩具の材質や口に入れたときの安全性、乳児にとっての音の印象などに注意が払われています。また、何でも口に入れる乳幼児のぬいぐるみは、肌ざわりがよく、清潔に保つため洗えるよう丈夫に作られています。


動くおもちゃ~玉ころがし・はしご人形・仕掛けおもちゃ~
ちょっとした行為によって玉が転がり人形が動くような、重力を利用した単純な仕掛け玩具を展示します。思いがけない動きと期待通りの動きの混合が小さな子ども達を夢中にさせます。


身体とおもちゃ~ボール・輪投げ・たたくおもちゃ~発音玩具・楽器のおもちゃ
ボール遊び、輪投げや九柱戯など、遊びの中で運動能力を伸ばしていく玩具、ハンマーを使って杭や玉を打ち込む玩具などを展示します。これらを通して子ども達は、筋力を育てるだけでなく、物に対する力加減について体得します。また、ここではペンタトニックやシロフォン、笛など、音への情感と音楽への愛着を育てていく楽器の玩具を合わせて紹介します。


数遊び~そろばん・ステッキ遊び~
手を使い楽しく遊ぶことを通して、数や量の概念を身体で理解していくの色々を。


積み木と形づくり遊び~形合わせ・色合わせ~
2才半頃には、単純な形(円、正方形、三角形など)を識別でき、3才から4才頃には形と色を組み合わせて遊べると言われています。ここでは、色や形への興味を発展させる型はめ、色合わせ、差し込み遊びの色々を展示します。積み木は、ひとつひとつの部品を組み合わせる中で、大きさや重さ、長さの違いを体得し、それらを様々な物体や事象に見立てて遊ぶことを通して、子ども達は想像力を広げ、創造性を培っていきます。そのような玩具を様々なトーイ・メーカーの作品を通して紹介します。

手先をつかうおもちゃ~コマ・けん玉・道具遊び・ヒモ通し~
ねじたり、まわしたり、指先をひねったり、手の働きの熟練によって、面白く遊びが発展していくもので、機能の発達に応じ、様々な年齢層に親しまれる玩具です。

人形とままごと遊び/ごっこ遊びの玩具
ケーテ・クルーゼやポングラッツ、ジルケ、ヴィンケルマン、ナンヒェン社などが生み出した素朴な抱き人形や動かして遊べる手人形、操り人形などを紹介します。また、ままごと遊びやごっこ遊びをより楽しくしてくれる小さな調理道具やティーセット、キッチンやリビングなどをミニチュアにした人形の家などをまとめて展示します。


動物と転がす玩具
様々な動物の特徴を独自のデザインでとらえ、抽象化した動物玩具の色々をトーイ・メーカーの作品を中心に紹介します。また、歩き始めた幼児が棒を押したり、紐をひっぱったりして遊ぶおもちゃの色々を展示します。動物が首や尾や羽根を動かすもの、思いがけない美しい色の世界があらわれるものなど、歩くことを楽しくするおもしろ玩具です。

乗り物玩具
ケラー社、へロス社、ロレンツ社などを中心に、デザインの美しい木製乗り物玩具を集めて紹介します。

おもちゃの村と
暮らしを形づくる要素をミニチュアにして、子ども自身の社会イメージを広げていく玩具です。ドイツの町並を描くように展示します。


<展示解説会のご案内>
下記の日程、展示室において解説会を開催します。日時を合わせてご来館下さい。
  日時=6月26日(日)・7月18日(月/祝)・24日(日)・31日(日)
      8月14日(日)・21日(日)・9月18日(日)・23日(金/祝)
      ※各日 15:00~

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