日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ Toys of this month

2011年1月

「カチカチ山の舟」

  • 昭和初期
  • 大阪府大阪市/紙・竹

 大阪張子は400年もの古い伝統をもち、西日本各地に伝わる張子玩具の元祖です。
張子技術は中国から伝わり、貴族文化が栄えた京都で発達しましたが、貴族生活に利用されていた和紙が子どもの玩具に登場するようになったのは、戦国末期か桃山時代の頃だといわれています。その後、日本の経済の中心が京都から大阪へと移り、最大の商都として繁栄した大阪が、町人文化で知られるとともに、張子玩具も人気の一つとなります。土人形が重くて破損しやすいのに対して、張子は軽くて丈夫で子ども達に安全でした。

 明治維新後は、急速な近代化により、玩具の世界にも鉛やアンチモニー、ブリキ、セルロイド、ゴムなどの新素材が登場するようになります。張子より丈夫で安価な新興玩具に押され、張子玩具は影を落とすようになります。
 写真の玩具が製作された時代、大正期から昭和終戦前までは大阪張子は個性的な作品が作られています。兎が乗っている舟には四輪がつき櫂を持っていますが、張子特有の柔らかさが生かされ、小ぶりでかわいらしいです。モチーフはお伽話「かちかち山」です。仲良くしていた老夫婦を酷いめにあわした狸を兎が成敗し、泥舟に乗った狸は溺れ死に、木の舟に乗った兎は助かるというお話です。昔から兎は知恵を働かせる動物として描かれてきましたが、死と再生を司る動物であると考える人もいます。

 残念ながら、その後、大阪張子は衰退していき、廃絶の道をたどります。この張子玩具も既に廃絶した作品です。高さ10㎝。
 写真の「カチカチ山の舟」は、1号館で開催中の「干支のうさぎと羽子板」展でご紹介しています。