日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ Toys of this month

2008年9月

「鳴くコオロギ」

  • 1920~30年代
  • 中国・東北部/コウリャン・紙・松脂

 キリキリキリ・・・キリキリキリ・・・キリキリキリキリ・・・・・・♪
小さなコオロギをのせた紅い蕪から出ているコウリャン片を持って、細かく左右に動かすと、虫たちが羽根をこすり合わせるような音が響きます。
 コウリャンの太い茎の表面を薄く切り出して細い弦とし、その弦と交差させるように別のコウリャン片を差し込んで楊枝で止めると、そこに松脂をつけます。キリキリと鳴くコオロギの音は、松脂をつけた部分がこすれる音なのです。

 当館所蔵の「鳴くコオロギ」は、大正時代から昭和初期に郷土玩具の収集研究者として活躍された故・尾崎清次氏のコレクションの中に含まれていたもので、かつて、これらを当館と交流のある中国民間玩具研究家・李寸松老師に見ていただいたことがありました。李老師は、「中国の東北部で多く栽培されるコウリャンを使った民間玩具(郷土玩具)だったが、現在はもう作られてはいないのでとても貴重だ」とお話し下さいました。「コオロギの音色に耳を傾け、静かに時を過ごした古き良き時代の秋が懐かしい」とも。

 中国大陸における虫の音色を愛する文化の一端を物語る卓抜したアイディアの玩具です。現在6号館で開催中の「音とあそぶ」展の「こする発音玩具」のコーナーでご紹介しています。