「ヒンメリ」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2008年12月

「ヒンメリ」

  • 2000年代
  • フィンランド/ライ麦わら

 ヒンメリは1150年頃にフィンランド田園地方からはじまった伝統的なヨウル(十二月下旬の冬至に行う太陽神の誕生祭や農耕神への収穫祭のこと)の装飾品で、名もなき民衆が作り出しました。本来、正八面体に編んだモビールのことを指すヒンメリは、主にライ麦の藁で作られています。収穫したばかりの新しい藁には、穀物の精霊が宿り、幸せを呼ぶ力があると信じられていました。

 また、ヨウルは死者の霊を鎮めるお祭りでもあったため、闇をさまよう霊から家を守るための意味合いもありました。

 中世、キリスト教の伝播とともに、ヒンメリはクリスマス飾りとして意味をもつようになりますが、近世になるとドイツからスウェーデン経由でクリスマスツリーが入ってきて流行し、その姿は消えかかりました。しかし、女性団体や出版社がヒンメリを広めようと努め、その後、アーティスト達によって形は多様化していきました。

 画像は、正八面体モビールではありませんが、ライ麦の藁で手づくりされた星のモビールです。モビールがゆれると、13個の星が静かに回転し、すがすがしい風の訪れを感じさせてくれます。
 ヒンメリの資料は現在開催中の「世界のクリスマスマーケット」で展示されています。