「ミニチュアのイースター・バニー」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2011年4月

「ミニチュアのイースター・バニー」

  • 1990~2000年代
  • ドイツ・エルツゲビルゲ地方/木

 イースター(復活祭)は、イエス・キリストの復活を祝う行事で、春分の日を過ぎ、最初に満月を迎えた後の日曜日がイースター当日にあたります。本年は4月24日がイースター・サンデーです。

 キリスト教世界では、クリスマスより重要な意味をもつ祝祭ですが、日本ではあまり紹介されることがありません。ヨーロッパのイースターには、美しく彩色されたパン、それらを飾った木などが街に登場し、人々は、キリストの復活と大自然の春の目覚めを喜び合います。蠟(ロウ)で染め抜いたり、絵の具で模様を描いた卵(イースター・エッグ)を庭に隠し、子どもたちが互いに探し合ったり、みつけた卵でイースター・サンデーの食卓を囲んだりする楽しい習俗も各地に残されています。

 写真は、ドイツ・エルツゲビルゲ地方で作られる木製玩具で、高さ3cmほどの小さな小さなウサギです。花の根元にいるウサギは、彩色されたイースター・エッグが置かれています。ヨーロッパには古くから、「ウサギがイースター・エッグを運んでくる」という伝承があり、ウサギとイースターとのつながりの深さを示しています。古代ゲルマン人にとって、ウサギは新しい種をもたらす豊穣のシンボルと考えられ、また、他者のために自分を犠牲にする動物と信じられていたため、キリスト教の心に通じるものだったのでしょう。

 巡りきた春に、草花が芽吹き、新しい生命が生まれていく喜びを象徴するのがイースター・エッグなら、ウサギたちは、生命の源をもって大地を駆け回る「喜びのメッセンジャー」でしょうか。

 エルツゲビルゲ地方は、ヨーロッパ有数の木製玩具の産地として知られますが、ミニチュア玩具も数多く作られています。写真の愛らしいウサギは、“おもちゃ村・ザイフェン”の工房で誕生したもの。現在、1号館で開催中の企画展「世界のミニチュア玩具でご紹介しています。