日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2012年10月

「ダマル型でんでん太鼓とダマル」

  • 1980年代
  • ネパール/土・皮(でんでん太鼓)木・皮(ダマル)
ダマル型でんでん太鼓(左)とダマル(右)

 赤ん坊をあやす玩具として広く親しまれている「でんでん太鼓(振り鼓)」は、柄が付いた太鼓の両側に糸で玉や小鈴を結び吊るし、それが太鼓の面に当たり鳴ります。

 写真は、ネパールのもので、チベットの宗教儀礼に登場する「ダマル」に似せた玩具です。これが「でんでん太鼓」のルーツであると考えられています。
 チベット大乗仏教の典礼音楽に用いる「ダマル」は、頭蓋骨を二個結合しています。二つの頭蓋骨は、ある種のシンボリズムの表現であるとされ、二つの椀を合せた形は、この概念の影響を受けたと考えられます。
 奈良時代に中国を経由して日本に伝えられた「振鼓」は、儀礼の中で使用され、それがやがて民間の「でんでん太鼓」に発展していきます。「でんでん太鼓」は、室町時代を経て、江戸時代には庶民層へも広がりました。日本の郷土玩具の「でんでん太鼓」のほとんどが、紙と竹、大豆によって作られています。

 「でんでん太鼓」は、アジアのほか、中南米・アフリカにまで分布しています。材質は、ココナツ実殻、瓢箪実殻、子安貝、動物の皮、竹皮など様々で、音質も国によって違いがみられます。
 現在1号館で開催中の企画展「世界の太鼓と打楽器・形と音色」に展示中です。