日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2011年8月

「中秋節の兎子王」

  • 1980年代
  • 中国・山東省/土・針金

 中国山東省高密の泥人形は400年余りの歴史を持っており、土俗信仰を背景にして縁起物が作られています。その中から、造形に神話伝説を取り入れ、子どもの玩具としての機能も兼ね備えた兎の民芸品を紹介します。

 旧暦8月15日は中秋節です。中秋の夜は満月を拝み、中国では月餅(げっぺい)や果物を食べ、一家団欒や豊作を祝います。

 中国の中秋節といえば、月にまつわる「嫦娥奔月(じょうがほんげつ)」伝説があります。羿(ゲイ)の妻・嫦娥が、羿が西王母からもらった不老不死の仙薬を飲み、月の宮殿へ舞い上がってしまう一説や嫦娥が天に昇るとき、兎を抱いて月へ行き、兎は神薬山から摘んできた薬草を絶えず杵で搗いているといわれる「玉兎搗薬(ぎょくとどうやく)」伝説もあります。

 写真は、「玉兎搗薬」伝説を表現したものです。「黄虎にのる兎」は山東省済南市で中秋の市に販売され、底に出ている紐を引くと、兎が薬を搗く仕草をする玩具です。

 この玩具は、現在開催中の「世界の動物造形」展の「アジアの動物」コーナーで紹介しています。