「煙出し人形のニコラウス」 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

Language

今月のおもちゃ

Toys of this month
2004年12月

「煙出し人形のニコラウス」

  • 1980年代
  • ドイツ・エルツゲビルゲ地方/木

 ドイツのクリスマスにプレゼントを運ぶ人物は、ヴィアナッハマン(聖夜の人)、クリスト・キント(幼子/精霊)、ループレヒト(農耕神)、そして、ザンクト・ニコラウス(ニコラウス聖人)…と、地域によって異なります。

 ザンクト・ニコラウスがやってくるのは12月6日。司教服に身を包み、プレゼントの大きな袋とともに木の枝のムチを持って、厳格な表情で各家を訪問します。家族に迎えられたニコラウスは、子どもの両親のもとに進み出て、その家の子どもたちが「一年、いい子にしていたかね?」と尋ねます。良い子にはプレゼントを、悪い子にはムチのお仕置きが待っています。農村部などではニコラウスが鬼を連れて来るから、子どもたちはたまりません。

 こうしたニコラウスの訪問には、その昔、新年の実りをもたらすためにやってきていた農耕神の姿が重ねられているといいます。

 人形は、手にムチをもっているものの愛らしい表情のニコラウスです。胴部が二つに割れて、中にお香を仕込むと、丸い口からいい香の煙を吐き出す楽しい仕掛けのクリスマス玩具です。