日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2010年9月

「オリナラのヘリコプター」

  • 1980年代
  • メキシコ・ゲレロ州オリナラ/瓢箪・木(漆塗)

 メキシコの民芸は、古代インディオの民族的な伝統とスペイン文化の融合で生まれてきました。ゲレロ州オリナラはスペイン人到来前の豊かな伝統の残る漆塗りの産地で、その最盛期は18世紀から19世紀にかけてと言われています。

 オリナラ古来の技法は、彫りこみと刷毛塗りの二つで、リナロエと呼ばれる香木を用い、下地を作り、地塗りをします。その上に油で練った粘土を手で塗っていきます。色粉や石粉かけ、磨石でこすり、幾重にも層の厚みができます。伝統的な模様は、花や鳥や動物です。現地では、スペイン植民地時代、塗り物はマケと呼ばれ、18世紀後半から“ラッカー”という名で親しまれるようになりました。

 かぼちゃや瓢箪を食料とし、また乾燥し加工して容器や用具を作ったのは南米ではメキシコが最も古いと言われています。そのかぼちゃや瓢箪の実殻を、自然のままの形で使用したり、彩色したりして、ユニークな造形が見られます。

 写真は胴体部分を表現した瓢箪にラッカーで彩色し、上部に伝統的な花を描いています。ヘリコプターらしく搭乗している人の顔も見えます。古いものと新しいものが混ざり合い、プリミティブなインディオの世界をも彷彿とするところに、この作品のおもしろさがあるように感じます。

 現在、6号館「乗りもの玩具博覧会2~陸と空の乗りもの~」展の「空を進む翼」コーナーに展示中です。