「トウモロコシの皮の人形」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2014年8月

「トウモロコシの皮の人形」

  • 1970~2000年代
  • 世界各地/トウモロコシの皮

 私たちはトウモロコシの実を食べるとき、実を覆っている皮を剥きますね。そのとき、皮を捨ててしまうのではなく、ひと晩、紙などに挟んで大事に形を整えて置くと、その皮をつかって人形を作ることが出来ます。世界を見渡すと、トウモロコシの皮の人形を伝承する国はたくさんあります。日本でも、江戸時代の頃から、トウモロコシの皮で姉さま人形を作る地域がありましたから、懐かしいとお感じになられる方もあるでしょう。

 現在、6号館で開催中の「世界の国の人形」展では、スロバキア、セルビア、ハンガリー、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、エクアドル、アメリカ合衆国、ケニア、ネパール、中国…などの国々からやってきた愛らしいトウモロコシ人形をご紹介しています。

 穀物を豊かに実らせた「穀物霊」は、役割を終えた後、その皮や殻の中に宿る――このような考え方、感じ方は、アジアやヨーロッパをはじめ、アフリカ、アメリカ大陸でも広く知られ、特に、トウモロコシを主食に近い食物として育ててきた地域においては、その皮もまた大切に扱われてきました。トウモロコシの皮の人形は、それぞれのお国のファッションを映して、見る者の目を楽しませてくれますが、その背景には、豊かな実りへの感謝と豊作への期待という、世界共通の心が込められているのです。

 さて、私たちはトウモロコシの実を食べた後、その芯にあたる部分は捨ててしまいますね。ところが、商品になった人形などを知らないかつての農村などでは、トウモロコシの芯に古布を巻き付けて女の子のための手遊び人形が作られていました。
 1870年代から1880年代にかけての西部開拓時代を描いた『大草原の小さな家』という物語の中、現金収入の少ない開拓民の家で育つ少女のローラがクリスマスにプレゼントしてもらったのが、このトウモロコシの芯の人形でした。芯にハンカチを巻き付けただけの素朴なものでしたが、ローラは「シャルロッテ」と名付けて愛しんでいました。  写真は、左から順番に、セルビア、スロバキア、メキシコ、ネパール、ケニア製で、高さは11~16cmと、少女の手のひらに乗るサイズです。そして、右端がハンガリーのケチキメートに伝承されるトウモロコシの芯の人形。ローラが可愛がっていた「シャルロッテ」を彷彿させます。