「グレドナー地方の人形」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2014年7月

「グレドナー地方の人形」

  • 2000年代復刻
  • イタリア・グレドナー地方/木

  南チロルに位置するグレドナー地方で木製玩具づくりが盛んになったのは17世紀のこと。中でも、腕と肘、脚と膝の関節が動く“ペグ・ドール”は、少女たちの圧倒的な支持を受け、長く愛され続けました。オーストリアやドイツなどでも関節をもった木製人形が家内工業によって生み出され、近世ヨーロッパの庶民階層の暮らしの傍に置かれていたのですが、第二次世界大戦を境として、このような素朴な人形や玩具は一気に衰退しました。
 写真のペグ・ドールは、20世紀末にFranz&Judith Canins夫妻によって再現的に製作されたもの。グレドナー地方の民芸伝承のために、当時と変わらぬ素材と製法が選ばれています。日本の“市松人形”などもそうでしたが、こうした人形は裸のままで販売され、買った人たちが、好みの布を合わせ、家庭で下着やドレス、帽子を作って着せかけていました。
 今、開催中の「世界の国の人形展」で展示しているのですが、どれもこれも裸ん坊では可哀想なので、一体を選んでエプロンドレスを作って着せました。こうすることで、買ってきた人形に一層の愛着がわくものですね!