今月のおもちゃ
Toys of this month
2014年12月
「アルザス地方の硝子玉のオーナメント」
モミの木をクリスマスに飾るようになったのは17世紀頃のアルザス地方(フランス北東部でドイツと国境を接し、住民の大部分はドイツ系)とされています。パンの文化史研究者の舟田詠子さんは、フライブルク市(ドイツ南西部の都市でアルザス地方に接する)の古文書館で精霊病院のクリスマスツリー用の請求書を調べあげるなどして、17~18世紀のクリスマスツリーには、リンゴなどの木の実、レープクーヘンやオブラーテンなどの平らな菓子などが吊るされたことを明らかにしておられます。
写真は、昨年冬、館長がアルザスのクリスマスマーケットから収集したガラスボールのツリー飾りで、赤い硝子玉、ジンジャークッキー型の硝子細工が華やかです。この赤い硝子玉には次のような逸話が伝わります。アルザス地方では、上述のように、クリスマスツリーにお菓子や秋の実りを象徴する赤いリンゴが好んで飾られていたのですが、1858年、アルザス地方は大不作。そこで硝子職人が吹きガラスで赤いボールを作り、リンゴの代用としたところ、それが定着したというのです。今では一般的なツリーのガラス玉も、そのモデルが木の実だったというのは興味深いことです。