雛道具「化粧道具」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2013年2月

雛道具「化粧道具」

  • 明治中期/大正初期
  • 京阪地方/木
明治時代の町家の雛道具(黒漆塗り金蒔絵)大名道具をまねたミニチュア(上段に鏡台と歯黒道具)

  江戸時代には、女性の口元を見れば未婚か既婚かがすぐに分かりました。一般に、結婚を決めた女性は「貞女二夫にまみえず」のしるしとして“お歯黒”をほどこしていたからです。黒という色が「心変わりせぬ」ことを象徴したためとも言われています。また眉についても、公家や武家などの上流階級の女性は、ある程度の年齢になると眉を剃って額の上部に別の眉を描き、一般庶民の女性においては子どもができると眉を剃っていましたので、眉化粧を見れば女性の年齢層がよくわかったのです。

大正時代の町家の雛道具 化粧道具のいろいろ(歯黒道具・湯桶・盥・手ぬぐい掛け・チリ紙台・鏡立てなど)

 雛まつりが盛んになると雛道具の数や種類が増え、一般家庭でも、大名家や上流階級の婚礼調度を模した雛道具が飾られるようになりました。そのため、雛飾りの中には、大名家の姫君の輿入れに用意された化粧道具の姿を見ることができます。すきぐし、あらぐし、油壷、眉化粧の道具などが収められた鏡台、耳盥(みみだらい)、お歯黒の粉を溶く碗、口をすすぐ椀、手ぬぐい掛け……どれもこれも小さく作られて、雛飾りの中に女性らしい優しさと愛らしさを添えています。

明治末期の桑製鏡台 櫛や油壷、お歯黒道具などがセットされている