日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2018年11月

「紐つきのこま」

  • 1990年代
  • トルコ・モロッコ・インド/木

 こまは、世界中にある玩具です。時代を超えて、国を超えて遊ばれ続けています。指でひねる、両手でまわす、ひもを巻いて投げる、造形によって回し方が異なるのもこま遊びの面白さです。

 トルコで見られるこまには、上部の芯に、紐が括り付けられています。その紐を巻き付けて、勢いよく下に投げると、紐がついたまま、こまが水平にまわります。はじめは空中で横に回っていますが、だんだんと縦になり、そのまま、地面につけてまわすこともできます。紐がついたままなので、トルコでは「散歩ごま」とも呼ばれているそうです。

 この紐付きこまがいつごろどこで誕生して、どのように広まっていったのか、その歴史に関しては、詳しい文献や資料にあたれておらずわからないのですが、当館の世界のこまのコレクションを見渡すと、トルコ以外に同じ形態のこまがモロッコ、ギリシャ、インド南部の地域などに見られます。13世紀末から19世紀初めのオスマン帝国の文化交流のあらわれかもしれません。また紐を操る様子は、古くから親しまれてきたヨーヨーをも思わせます。古代ギリシャの壁画には、ヨーヨーで遊ぶ女性の姿がみられます。長い遊びの歴史の中で、ヨーヨーとこまが融合した造形なのかもしれません。 トルコ・モロッコ・インドのこまは、現在開催中の「世界の伝承玩具」展でご紹介しています。イスラム寺院の「モスク」を思わせるようなデザインにも注目しながら、紐付きこまの歴史に思いを巡らせてみてください。