「北方民族のバーチ・バーク・カヌー(Birch-Bark Canoe)」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2018年8月

「北方民族のバーチ・バーク・カヌー(Birch-Bark Canoe)」

  • 1980年代
  • カナダ/白樺の樹皮

 1号館で開催中の企画展「世界の乗り物玩具」海のコーナーで、世界各地の船の玩具を見渡してみると、素材や模様、船の構造までもが実物に忠実なものが多くみられます。

 北米大陸の先住民の人々は、白樺の樹皮からカヌーを生み出しました。バーチ・バーク・カヌー(Birch-Bark Canoe)と言われるこのカヌーは、釘など一切使わずに、自然素材のみで作られています。樹齢80年以上の白樺の樹皮で船の形を整え、幹や桧材を細い骨組みにしてその形を保ちつつ、木の根を糸として樹皮を縫い合わせていきます。防水が必要な部分はトウヒの樹脂が塗られています。樹皮が主な素材なので、軽いのも特徴です。

 16世紀、毛皮交易をしていた先住民の人々は、商品や荷物とともに15人乗りの大きなバーチ・バーク・カヌーをかつぎ、五大湖や川を渡って約5000kmもの距離を行き来しながら交易をおこなっていました。 カナダの大自然の中で生きてきた先住民の人々が、バーチ・バーク・カヌーに込めた知恵と工夫は、実物そっくりの玩具を通しても伺い知ることができます。