🚩開館50周年を祝って、日本人形文化研究所の林直輝さんから、全国各地の肉筆凧絵を集めた豪華な私家本『日本の凧絵』(同氏編)をお贈りいただきました | 日本玩具博物館

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2025.03.11

🚩開館50周年を祝って、日本人形文化研究所の林直輝さんから、全国各地の肉筆凧絵を集めた豪華な私家本『日本の凧絵』(同氏編)をお贈りいただきました


井上重義館長をはじめ、当館スタッフとも長くお付き合いがあり、当館の所蔵品について、多くのご教示をいただいてきた林直輝さん(日本人形文化研究所)が、当館開館50周年を祝って、全国各地の肉筆凧絵45件に解説書をつけた『日本の凧絵』(林直輝編著/平成30・2018年 紙鳶洞刊/20部限定)をお贈りくださいました。

かつて、日本各地に伝わる63件の凧絵を収めた『日本の凧』(俵有作編著/昭和39・1964年刊/100部限定)が美術出版社から出されていますが、高校時代にその伝説的な限定刊行物に触れた林さんは、凧絵の素晴らしさにあらためて感銘を受け、10代にして同書に続く平成版の上梓を決意されたといいます。以来、20年の歳月をかけ、北から南から、凧絵師の仕事の結晶である美しい凧絵を手元に集めていかれました。林直輝さんといえば、今では人形玩具界を代表する研究者のおひとりであり、凧を愛好し、凧絵を描くことを能くされる凧絵師でもあります。

「さぁ、それでは!」と綺麗に手を洗って、❝日本の凧絵❞と墨書された桐凾を開き、林さんの解説を読みながら、津軽凧(青森県弘前市)、するめ天旗(宮城県仙台市)、能代凧(秋田県能代市)・・・と、一枚一枚、凧絵を鑑賞すれば、シンプルな画面に広がる颯爽としたデザインと鮮やかな色合わせに息をのみ、それぞれの凧絵に込められた祝いの心がひたひたと伝わってきます。

先人の仕事を大切にされる林さんのこと、――この稀少で高価な御品をご寄贈くださったのは、井上館長もまた和凧を心から愛し、凧の造形とそれにまつわる文化を後世に伝えたいという強い思いをもって、出版活動(※)や「全国凧あげ祭り」などの普及活動を地道に続けてきたことに敬意をおもちくださるからでしょう。

ずっしりと重い平成版『日本の凧絵』――日本文化の一分野を未来へつないでいこうという林さんのお志が詰まった贈り物は、博物館活動の糧として、当館の郷土凧レクションとともに大切に保存させていただき、グッド・コンディションのまま、後世へお伝えできるよう努めたいと思います。館長以下、館内一同、林直輝さんに深甚なる感謝をささげます。本当にありがとうございました。

(※) 井上館長が❝明石豆本らんぷ叢書シリーズ❞として『日本の凧』を著したのは、博物館をオープンする2年前の昭和47(1972)年のこと。本書は、若い日の館長が収集した各地の郷土凧のなかから46件を7地域に分けて、56枚の写真とともに、それぞれの成り立ちや製作者について、また収集の過程で判明したことを綴ったものです。掌で包める豆本のなかに、近世から日本の高度経済成長が完了する昭和40年代へと受け継がれてきた豊かな和凧の世界を詰め込んだ価値ある文献として、今も輝きを放っています。

『明石豆本らんぷ叢書・日本の凧』(井上重義著/昭和47・1972年刊)