<新収蔵品紹介>昭和9年の檜皮葺き御殿飾り雛 | 日本玩具博物館

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学芸室から 2011.04.07

<新収蔵品紹介>昭和9年の檜皮葺き御殿飾り雛

新春から旧暦桃の節句にかけての季節になると、家庭で飾っていた雛人形を寄贈したいというお申し出に接する機会が増えます。子ども世代の独立や転居、また受け継がれる方の事情などによって、雛人形を持てなくなったり、また時代を経た古雛は個人宅で飾るより、もっとふさわしい保管先へと考えられたり…。
先日は、奈良にお住まいのご夫人から「御殿飾り雛一揃」を寄贈したいというお申し出を受け、井上館長が奈良のご自宅までお受けに伺いました。持ち帰らせていただいた雛人形や雛道具は、当館の作業場で開梱し、簡易に低い雛段を組んで、一点一点、点検しながら飾り付けを行いました。人形や道具類の撮影を行い、それぞれに登録番号(この資料はNo.11-A015です)をふり、それぞれの木箱の様子を確認しながら梱包収蔵していきます。
寄贈者は昭和9年生まれで、当時、大阪府下に住んでおられました。この御殿飾り雛一揃は、寄贈者の初節句を祝って、ご家族が購入されたものと伝わっています。雛飾りには、「大丸」の飾り方説明書が添付されており、一揃の雛飾りは、百貨店「大丸」によってプロデュースされたものとわかります。
本年の旧暦桃の節句(=4月5日)は過ぎてしまいましたが、雛飾りの様子をこちらのページでご紹介させていただきます。

檜皮葺き御殿飾り雛は、すでに5組所蔵しており、内訳は、明治末期から大正時代にかけてのものが3組(それぞれに姫路・豊岡・神戸の個人の寄贈)、昭和初期のものが2組(京都・愛知県春日井の個人の寄贈)です。今回のものを含め、昭和初期の3組は、すべて同じような様式で作られており、明治末期のものに比べて屋根の檜皮葺きの密度が粗くなっていたり、組み立ても簡便になっていたり…と細かい部分に多くの違いが認められます。
今回、寄贈を受けた雛飾りにも、関西特有と思われる白木の勝手道具一揃が付けられ、また、桃の節句に、子どもたちが人形たちと雛料理の共食を行うための小さな祝い膳が10組揃っており、当時、関西の裕福な町家で行われていた雛まつりの様子を彷彿とさせます。
「大丸」の飾り方説明書には非常に興味深いことが書かれていますので、全文をご紹介いたします。

    雛人形の飾り方
     お雛さまの飾り方にはむつかしい一定の規則はございませんので
     雛段に形よく調和をとってお飾り下さい。
     図に示しました屏風飾りと御殿飾りは一般的な飾り方の一例でございます。
     雛段は、屏風飾りは五段、御殿飾りで三段が適当でございます。

    お雛さまの持ち物は、親王 笏、太刀  姫 檜扇  
     官女 向って右から長柄の瓶子、盃台(又は島台)、提柄の瓶子
     五人囃 向って右から扇子、笛、小鼓、大鼓、太鼓
     随身 向って右側に左大臣(老人)、左側に右大臣(若人)が背中に背負い矢、
     右手に矢、左手に弓
     仕丁 京都製は向って右から笑い上戸(熊手)、怒り上戸(ちりとり)、泣き上戸(ほうき)
     東京製は中央に沓台、両側に台傘と立傘
     御殿花 向って右に桜、左に橘

    雛人形の御保存には
      ◇お仕舞になる時は天気のよい日を御選び下さい。
      ◇羽はたきやバラ毛の筆でほこりをよくお払い下さい。
      ◇顔・髪には直接綿をあてないでやわらかい紙でお包み下さい。
      ◇樟脳・ナフタリン等は必ず紙に包んで御使用下さい。
      ◇御保存には、湿気のない場所を御選び下さい。


一般的な飾り方の例として、屏風飾りと御殿飾りが紹介されていますが、昭和時代に入っていますので、内裏雛(親王と姫)が置かれる位置がかつての飾り方と逆になっているところ、仕丁における京都製と東京製との違いについて明記されているところにもご注目下さい。

来春の雛人形展は、テーマを「江戸と明治のお雛さま」としたいと考えていますが、近い将来、当館が所蔵する檜皮葺き御殿飾り雛を一堂に飾ってお目にかけたいと思っておりますので、その折には、昭和9年、大丸プロデュースの雛飾りも登場いたします。ご期待下さいませ。

(学芸員・尾崎織女)

  

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