ちりめん細工 「端午の節句の薬玉飾り」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2018年5月

ちりめん細工 「端午の節句の薬玉飾り」

  • 明治中期~大正・平成20年代
  • 日本/縮緬

端午の節句

 中国から日本に端午の節句の風習が伝わったのは奈良時代。当時の陰暦5月は悪月とされており、5月5日は邪気を祓う重要な日でした。 厄除けの主役は、この時期に強い香りを放つ菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)などの植物です。薬草としての効力から、霊力をもつ植物と考えられ、菖蒲酒を飲んだり、宝剣のような菖蒲の葉や蓬の人形を戸口に飾って厄を祓う風習が日本にも伝えられました。  薬玉もそのひとつです。菖蒲や蓬を含む時節の植物を束ね、麝香(じゃこう)、沈香、丁子(ちょうじ)、竜脳などが入った香袋を合わせて,五色の糸を長く垂らしたものです。重陽の節句まで御帳にかけ飾ったり、肘に掛けて携帯すると悪気を祓い,長命を得ると考えられていました。

 ちりめん細工の世界でも、端午の節句飾りとして華やかな薬玉が作られてきました。明治・大正の古作品の中には、球体につまみ細工の技法で四季の花々が飾られた薬玉や、壁飾り用に仕立てられた作品が見られます。

薬玉の様式

 薬玉には、「真」「行」「草」の様式があり、花々で球体が作られた薬玉は「草」の様式と言われます。平成によみがえったちりめん細工には、四季の花袋で構成された薬玉飾りや、宮中で用いられたという「真」の薬玉をイメージされたものが新たに作られています。後者は、紅白のサツキの花の上部に柏の葉と3つの香袋を配し、蓬と菖蒲の葉がさげられたもので、一見シンプルながらも存在感のある飾りです。ちりめん細工の薬玉飾りは、現在6号館で開催中のちりめん細工研究会30周年記念展「ちりめん細工の今昔」でご紹介しています。ぜひ古作品と新作品それぞれの美しさを見比べてみてください。