鬼の張子面「オリッサのマヒシャ」と「グアナファトのデアブロ 」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2016年7月

鬼の張子面「オリッサのマヒシャ」と「グアナファトのデアブロ 」

  • 1980年代
  • インド・メキシコ/紙


 1号館で夏秋の企画展「世界の仮面と祭りのおもちゃ」が始まりました。日本からは祭りの日の露店で子どもたちのために売られていた鬼の張子面を展示していますが、角や牙を生やした鬼は他の国々にも存在し、祭礼の玩具として愛されてきました。                       

 インドの「マヒシャ」は水牛の魔王にして鬼族の首領です。自身の魔力を頼みに強力な力をふるい、天界に住む神々を追い出してしまいます。このことを怒ったヒンズー教の三大神~ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ~は、力を結集して戦闘の女神・ドゥルガーを生み出し、この女神によってマヒシャを討ちます。写真は、オリッサ州の祭礼に露店で売られるマヒシャの張子面です。インドの子どもたちは、仮面遊びを通してヒンズー教の神々や神話に親しんでいるのです。                       

 メキシコにも2本の角を持つ鬼がいます。桃色の顔の「デアブロ」はグアナファト州セラヤで作られる張子面で、聖母マリアに屈服した悪魔をイメージしたもの。カーニバルに登場し、悪の象徴として焼き捨てられます。人間社会は、強い魔力を持ちながら、悪しきものとして討たれる存在を必要としているのでしょうか。ニッと笑ったデアブロの口元には一抹の悲哀が漂います。セラヤではキリストやユダ、動物の張り子面も作られていて、祭礼の日の露店はとても賑やかです。  
 1号館の企画展では、日本の赤鬼や青鬼の張子面と比較しながらお楽しみ下さい。