「端午の座敷飾り」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

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2016年5月

「端午の座敷飾り」

  • 大正期
  • 兵庫県神戸市・上田人形店製/木・金属・皮革・紙

 この大型の座敷飾りは、宮内省御用も務めた上田人形店(神戸市兵庫区江川町)で大正時代末期に調製され、神戸市中央区北野町の家庭で飾られていたものです。この度、ご縁あって、当館が寄贈を受けましたので、らんぷの家に5月10日(火)までお披露目させていただきます。

 座敷に五色幔幕を張り、矢襖(やぶすま)を背に、高さ1.2mもある甲冑が飾られます。それを大小の刀、弓矢、種子島鉄砲、陣太鼓、陣笠、軍扇、提灯で荘厳し、端午の魔を除けるとされる毛植の虎も添えられています。馬印、幟、長刀などが幟立てに勇ましく、大正時代らしく、黒鯉一旒の鯉のぼりが脇を固めます。江戸時代の大都市部では、町家においても、旗指物や武具をずらりと屋外に飾って端午の節句を祝う風習がありましたが、そのような時代の飾り物を彷彿させるサイズです。また、ただ大きいというだけでなく、飾り金具の繊細さや細部まで本物にもひけを取らないつくりの素晴らしさには驚かされます。  こうした豪華な節句飾りは、“大正バブル”と呼ばれる好景気を背景に京阪神地方の都市部が豊かであった時代、町家の経済力が可能にしたものともいえます。