「犬筥(いぬばこ)」 | 日本玩具博物館

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今月のおもちゃ

Toys of this month
2017年3月

「犬筥(いぬばこ)」

  • 平成初期
  • 日本/紙・金箔・岩絵の具

 犬の形に作った張り子細工の筥(=箱)で、雌雄一対がセットとなっています。犬張り子、お伽犬(おとぎいぬ)とも言われ、これは古くから子どもの健やかな成長を願うお守りでした。

 犬は多産かつ産が軽いことから室町時代には上流階級の間でこの犬筥を産室へ飾る風習があり、子どもが無事に生まれると、今度はそれを子どもの枕元に置きました。筥の中には守り札や白粉(おしろい)、畳紙(たとうがみ)、眉掃きなどを納めます。

 江戸時代に入ると、宮参りや嫁入り道具の一つとしても持参され、やがて雛段にも飾られるようになります。
 この箱型の犬筥は京都で生まれたもので、一般的に犬張り子と聞いてよくイメージする「でんでん太鼓」を背負った四つ足で立つ犬の江戸張り子は、江戸時代中期に犬筥から転化して生まれたと言われています。
 

 写真の犬筥は、江戸時代の犬筥に基づいて復元されたもので、平成初期に工芸作家の藤井郁江氏によって製作されました。現在6号館の春の特別展「雛まつり~雛と雛道具~」にて展示中です。