今月のおもちゃ
Toys of this month
2014年9月
「人形芝居用の首人形」
「首人形」は土や練り物などの頭に、竹串や木串を刺したもので「串人形」とも呼ばれます。この首人形には衣装を着せて姉さま遊びに使ったものと、人形芝居が盛んな地方で子どもが人形芝居の真似ごとをして遊ぶために作られたものなどがあります。多いのは姉さま用で、全国各地で作られました。人形芝居遊び用のものは人形芝居が盛んだった地方で作られ、全国でも限られていました。
佐渡は人形芝居が盛んで、最盛期には人形芝居の座が40数座もありました。そんな土地柄を反映して、子どもらのために、竹串に土製の頭を付けた首人形が作られました。中でも昭和初期の佐々木佐輿吉制作の首人形は稚拙な筆使いから全国屈指と高い評価を得ていました。
さらに徳島県の鳴門も阿波浄瑠璃の人形芝居が盛んな土地柄で子どもたちのために幕末頃から「一文でこ」と呼ばれる首人形が作られてきました。昭和初期頃の制作者・段重太郎は佐々木佐輿吉と並んで高い評価を得ていました。
いずれも戦前に廃絶し遺された作品は少ないのですが、当館所蔵の尾崎清次コレクションにあり、この度の「日本の人形遊び」展で展示しています。