ブログ
blog文化の日に寄せて・・・ 博物館の使命とは
■今日は文化の日です。評価されずに消えようとする子供に関わる文化遺産を収集し、保存し後世に伝えることを使命に、当館が開館してこの11月10日 で満40年を迎えます。これまでも何度も繰り返し申し上げてきましたが、文化遺産を守るために設立された筈の博物館の多くが集客装置化していることは、将来に大きな悔いを残すと私は思います。
■2007年5月、日本学術会議は「博物館の危機をのりこえるために」との声明を発表されました。私は繰り返して声明を読み、博物館のあるべき姿を追い求めてきました。「常日頃から収蔵品を集め、充実したコレクションを形成しておくことが重要である。」「充実した収蔵品コレクションを有する博物館は、活動において様々な可能性を獲得できる。独自の収蔵品による展示自体が魅力的であれば、多くの人々に来館してもらえるだけでなく、遠方からの来館者も期待できる。また、優れた収蔵品は他の館からの貸し出しの対象となる。・・・そのためには収蔵品収集のための中・長期的展望と戦略を立てておくことが肝要である。」との言葉を実践し、大きな成果を上げることができました。ところが残念ながら現在、収集活動に資金を投入し、目的意識を持った収集活動を行っている博物館は少数なのです。
■当館は開館以来、コレクションの構築にこだわり、国内では第一級のさまざまなコレクション群の構築に成功しましたが、それが輝き始めました。来館者からも、「たくさんの懐かしい資料や珍しい物を拝見して感動しました」とのお言葉を再三いただきます。
■開館40周年記念誌では当館の収集活動について私は、「この10年を振り返って」のなかで、コレクションの構築にこだわるとして書き、コレクションが輝くとして纏めています。また尾崎学芸員は日本玩具博物館・収集活動の記録として、海外の資料の収集状況について詳しく述べ、「消費財があふれかえる社会だからこそ、民族の風格に満ちた本物をきちんと紹介していくことが、物を保存し、物を通して次世代に文化を伝える博物館が果たすべき大きな役割であると私たちは考えています。質量と体積を持った資料は、博物館にとって、それが無くては意味をなさないほどに大切ですが、資料がひきつれている文化こそ、後生に伝えていくべき遺産に違いありません」とまとめています。
■さらに記念誌では当館の活動だけでなく、今回も当館を温かく見守って下さっている大勢の先生方から温かい心のこもったメッセージの掲載や、開館30周年と20周年の主な記事を抜粋して掲載し、40年間の活動についてまとめた資料になっています。記念誌はB5版の76頁で、この10年間の記録の頁の写真はカラーにしました。2000部印刷し、1日に納入されました。『企画展の記録Ⅲ』はB5判で356頁。500部の発行です。写真は全てカラー印刷です。印刷や製本に時間がかかり、納入は10日を過ぎるようです。記念誌は定価400円(税込)、企画展の記録集Ⅲは1500円(税込)とさせていただきました。送料は記念誌が100円、記録集が150円です。当館あてにお申込み下されば振替用紙同封でお送りします。
(館長・井上重義)
バックナンバー
年度別のブログ一覧をご覧いただけます。