世界の鳥のおもちゃ展が始まりました | 日本玩具博物館

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館長室から 2012.07.01

世界の鳥のおもちゃ展が始まりました

梅雨の最中です。1号館の前にある臨時駐車場入り口の合歓の木の花が咲きました。桃の花のようなな華やかさはありませんが、うす桃色の可憐な花です。6号館への小道も新緑の木々に覆われて、緑のトンネルになりました。

合歓の花
6号館への小道

その6号館で昨日からはじまったのが特別展「世界の鳥のおもちゃ」です。世界70カ国から蒐集した鳥のおもちゃ、800点を展示していますが、すべてが当館の所蔵資料です。6号館に足を踏み入れると展示ケース内だけではなく、天井からも鳥が吊されていて、室内は鳥・とり・トリでいっぱいです。世界各地の鳥の玩具や造形物がこれほどの内容で一堂に展示されることは大変珍しいと思います。ぜひ鳥の専門家の皆様にもご覧いただき、ご意見をお聞きしたいと考えています。

世界各地の玩具は約35年前から蒐集してきました。手当たり次第ではなく、いくつかに的を絞り蒐集してきましたが、鳥もその一つでした。展示が完了するといつものことですが、よくぞこれだけのものが蒐集出来たという感動と共に、蒐集時の思い出がよみがえります。このフィンランドの鳥笛は1984年、私にとっては始めての海外旅行だった北欧旅行でヘルシンキの日曜市で買い求めたものです。またブラジルの先住民の鳥の玩具の数々も、1995年の日本ブラジル修好百周年事業に要請されて当館の日本の郷土玩具をサンパウロ、クリチバ、リオ・デジャネイロの3都市で展示した際に現地の専門家の協力を得て蒐集し、約400点を私と尾崎学芸員が持ち帰ったのです。ブラジルは民芸大国とも言える国なのですが同国の民芸品は商業的なルートではわが国には輸入されておらず、当館もそれ以降は入手できていません。機会を得て貴重な資料が入手できたのです。

鳥笛だけでも150点余り。ご覧いただくと胴部に水を入れて吹くと音が振動する鳥笛も各地にあり、それに糸と重りで鳥の頭が上下に動き、カタカタと餌をついばむ鳥の玩具も世界各地から約40点が展示され、興味津々の展示内容です。

土のニワトリ(フィンランド)

この夏は、1号館の企画展「幻の神戸人形」も、6号館の特別展「世界の鳥のおもちゃ」も、国内では当館でないと見ることが出来ないユニークな展示です。展示期間が終了すれば今後数年間は収蔵庫での管理となりますのでこの機会にぜひご来館ください。

「世界の水笛」展示風景
第19回全国博物館長会議での事例発表

先月13日に文部科学省で開催された第19回全国博物館長会議での事例発表ですが、無事終了することが出来ました。ただ出席者の大半が公立館の館長であり、私のような自分の考えがストレートに運営に反映できる個人立館の経験が参考になったかどうかはわかりませんが、博物館にとってはコレクション形成が大切なことやそれが全国から人を呼び寄せる力になっていることなどを発表しました。時間的な制約の恐れがありましたのでパワーポイントだけでなく、発表内容を文章化したものも配布しました。会議終了後の懇親会では何人もの公立館の館長さんからお声をかけていただきましたが、お聞きしたのは厳しい経費削減の状況やコレクションを充実したくとも出来ない現実でした。会議に参加して公立館がおかれている厳しい状況を認識させられました。

(館長・井上重義)

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