特別展「雛まつり」が始まりました | 日本玩具博物館

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館長室から 2011.01.25

特別展「雛まつり」が始まりました

寒さ厳しい日が続きますが、当館入り口の蝋梅の黄色い花が咲き始め、ひと足早く春の訪れを告げています。去る9日に開催しました恒例の第37回全国凧あげ祭りは天候にも恵まれ、青森県の津軽凧から沖縄の石垣島の八角凧まで日本各地の伝統凧が大空を彩り、大勢の皆さんに日本の凧の素晴らしさを満喫していただきました。例年、大勢のカメラマンが来場されており、ネット上には当日の情景が動画などでたくさん上がっています。ぜひ「第37回全国凧あげ祭り」でご検索下さい。臨場感あふれる画像をご覧いただくことができます。

6号館恒例の特別展「雛まつり~お雛さまと雛道具」の展示が始まりました。正式には2月5日(土)のスタートなのですが、展示作業が23日に完了しましたので24日から開催しています。今回も18日のクリスマス展終了後、スタッフ全員が連日、夜中まで展示資料の撤収と展示に取り組み、22日には展示がほぼ完成しました。いつものことながらスタッフの熱意と努力に頭が下がります。早速に来館者から「雛人形の明治時代のものの素晴らしさに圧倒されました。檜皮葺の御殿や、特に台所用品には飽きることがありませんでした」と嬉しいメッセージをいただきました。

当館の雛人形コレクションは当初は郷土玩具の雛人形が中心だったのですが、約20年前より江戸から明治初期の裕福な階層の人々が 飾った衣装雛の収集も必要だと考えて本格的に取り組んできました。阪神淡路大震災後に被災地から貴重な資料が寄せられたり、雛人形ブームが起こる前で江戸期の享保雛や雛屏風などの貴重な資料が購入できたことなどから、雛人形関係の膨大な資料が収蔵できたのです。超一級品はありませんが、質や量から言えば博物館施設としては国内第一級の雛人形コレクションが形成できたと自負しています。

被災地からきた大正6年に東京松屋で販売された雛人形

6号館の展示スペースは、立ちケースが32mと平ケースが2台で3mの合計35mあります。今回は西の部屋に江戸期を中心とした雛人形、東の部屋には明治期から昭和30年ごろまでの御殿飾りを中心に展示しています。なんと言っても当館の雛人形展の見所は、江戸時代から昭和期までの50組にのぼる多彩な雛人形や雛道具の展示により、雛人形の歴史的変遷や江戸製や京阪製など、産地による雛人形の特徴が分かることです。

初公開の孔雀が描かれた屏風。格調ある雛屏風も見どころです。

今回の展示では収蔵品の中から江戸時代後期の江戸製や京阪製の雛人形を10組展示していますが、産地の違いなどが解説され、三人官女などについても一人ひとりについての詳しい解説がなされています。ご覧になればひとかどの雛人形通にもなれるのではないでしょうか。御殿飾りも豪華な檜皮葺の御殿2組のほか、大正期や昭和初期の御殿飾りや昭和30年頃のきらびやかな御殿飾りまでが一堂に展示され、興味津々の内容です。
皆様のご来館をぜひお待ち申し上げております。

最後になりましたが、私は本日、満72歳の誕生日を迎えました。24歳のときに『日本の郷土玩具』(斉藤良輔・未来社刊)と出合って以来48年間、評価されないままに失われようとする子どもや女性に係る文化遺産の収集に生涯をかけてきました。大切さに気付いたから集めたまでで、それが私に課せられた人生の課題と考えて頑張ってきました。ちりめん細工や世界の玩具など、当館が収集した膨大な資料の多くは、当館が収集していなければ後世に遺ることはなかったでしょう。さらに当館は大きな信頼を受けて、何人もの方から一生涯かけて築かれた貴重な玩具関係のコレクションを後世にと託されています。

いつも持ち歩いて、何度も読み返し愛読した本。
著者である斉藤良輔先生からのメッセージ

当館が保存している8万点を超える膨大な資料は、私自身の独りよがりであるかもわかりませんが人類文化の創造と学術研究に欠かせない大切な文化遺産であると考えています。収蔵資料を後世に伝えるには社会の支援がなければ継承は困難であり、それには当館の収蔵資料が社会にとって大切な文化遺産であると認識をいただくことが必要だと思うのです。
今年はコラム「ふるさとの玩具」の連載から解放されましたので、大勢の皆様ともお出会いして、お知恵やアドバイスを賜りたいと考えています。

(館長・井上重義)

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