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blog世界のクリスマスマーケット展から
●去る25日から恒例の特別展「世界のクリスマス」が始りました。今年のテーマはクリスマスマーケット。来館者の皆さまは会 場に入られると、「ワー。すばらしい」とその雰囲気に感嘆の声をあげられ、一足早いクリスマスの訪れを楽しまれています。
●この世界のクリスマス展が始ったのは今から23年前の1985年。同年夏、私は北海道教育大学故伊藤隆一教授のお誘いを受けて北欧のおもちゃ事情調査に出かけ、ヘルシンキやストックホルムのオールドタウンなどで、麦わらのオーナメントやヤギなど、クリスマス関連の作品を数多く入手しました。それまでにも中南米やヨーロッパ各地のクリスマス資料を収集していましたので、その冬に1号館で約350点の資料を展示して、「世界のクリスマス展」を開催しました。それが物珍しさもあってか大ヒットしたのです。
●翌年の冬は違った展示でしたが、大勢の皆さまから「今年も楽しみにしていたのに」とのお言葉をいただき、以来、1987年から毎年、世界のクリスマス展を開催するようになったのです。
●心がけてきたのは資料の充実です。1994年2月、私はドイツ在住の古本清子さんの仲介でニュールンベルグ玩具博物館から招聘を受け、有名な玩具見本市やその頃はわが国では知る人もなかった旧東独領の伝統玩具の産地エルツゲビルゲを訪ね、貴重な資料を入手しました。
●そしてその冬。当館の開館20周年の記念行事として12月11~20日まで、日本旅行にお世話を願い、「ドイツのクリスマスマーケットを訪ねる旅」を実施したのです。尾崎織女学芸員を団長に13名が古本さんの案内でドイツ各地のマーケットを訪れました。恐らく日本からのドイツのクリスマスを訪ねるツアーの第一歩を記録したと思います。
●私はその後、クリスマスシーズンに東欧、ポルトガル、スペインなどを訪ねました。驚いたのはポルトガルで、同国ではクリスマスマーケットが開かれていなく、有名な教会を訪ねても深閑としていました。幸いにも宿泊した古都ポルトで、商店の奥まった部屋でクリスマス商品が売られているのを知り、ガラス玉に鶏の羽根や鋼線が入った資料や羽根で作られたツリーなど、貴重な資料が入手できたのです。エジプトやブラジルの降誕人形は、当館学芸員が現地で収集したものです。
●海外ではなく、国内でも貴重な資料を幾つも入手しました。1997年に東京で国際見本市が開催され、訪れるとチェコのブースにボヘミヤグラスのオーナメントが輝いていました。聞くと処分できるとの話に最終日にスタッフが出かけて引き取りました。後に私はプラハを訪問しましたが貴重な資料であることが分かりました。メキシコで有名な人間国宝的存在の民芸作家テオドラ・ブランコ女史(1970年代当時70歳代)の素焼きの手捻りの降誕人形も国内で入手。こんなすばらしい作品が、どうして当館にと、私自身感動を覚えるのです。
●現在、当館のクリスマスコレクションは3000点。今年はクリスマスマーケットをテーマに、国内では見ることができない貴重な資料1000点が皆さまをお待ちしています。
(館長・井上重義)
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