「星型のピニャータ」 | 日本玩具博物館

日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

Language

今月のおもちゃ

Toys of this month
2007年12月

「星型のピニャータ」

  • 1980年代
  • メキシコ・メキシコシティー/陶器・紙

 メキシコでは、「ポサダ」と呼ばれるクリスマス行事が9日間にわたって繰り広げられます。身重のマリアとヨゼフがベツレヘムの町であちこちの宿を訪ね歩いたことを再現するもので、宿になる家々では賑やかなパーティーが催されます。

 そんなクリスマスパーティーの中で、子どもたちが楽しみにしているのが「ピニャータ」割りです。素焼きの壺のまわりに木切れや新聞紙を使って動物や鳥、星や花など様々な形を作り、その上をきらきら光る紙や切り紙細工などで飾り、壺の中には、お菓子や小さな玩具、時にはいたずらに「たわし」などを入れて完成させます。ピニャータはパーティー会場の天井から吊るされ、パーティーの終盤、集まった子どもたちは目隠しをして、ピニャータを叩き割ります。割れたピニャータから床にこぼれたたくさんのお菓子や玩具を拾い集めて持って帰った楽しい夜の出来事は、メキシコの子どもたちにとって、クリスマスの欠けがえのない思い出になっているようです。

 写真は、1980年代にメキシコシティーに滞在していた方から寄贈いただいた星形のピニャータです。高さが20cmほどの小さなピニャータですが、これらを切り紙細工の旗飾りとともにたくさん天井から吊るし飾ると、さぞ、華やかな夜のパーティーになることでしょう。
 星の光を表わすとがった部分は、本当は鬼の角を象ったもので、キリスト教上の罪を象徴するといわれる向きもあります。ピニャータを叩き割ることでたくさんの罪を打ち破り、清浄な気分でクリスマスを迎える・・・、そんな意味も含まれているのかもしれません。