おもちゃたちの夏季出張・その2 ~海津市歴史民俗資料館へ~ | 日本玩具博物館

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学芸室から 2006.07.19

おもちゃたちの夏季出張・その2 ~海津市歴史民俗資料館へ~

夏休みは、日本各地の博物館で、親子で楽しめるような企画展が数多く開かれます。日本玩具博物館ではそうした企画展に協力を行うことが年を追って多くなり、今年も当館の玩具たちは、グループを組んで、西へ東へと忙しく動き回っています。

海津市歴史民俗資料館外観 ―― 豪雨のち快晴。夕方に晴れ上がった夏空を背景に。

今日は豪雨の中、館長と学芸スタッフが岐阜県西南部、海津市歴史民俗資料館へ出かけていました。海津市は先ごろの市町村合併によって誕生した人口4万ほどの新市で、揖斐川、長良川、木曽川の三河川に囲まれた低地「高須輪中」に位置します。海津市歴史民俗資料館の外観は、高須松平藩御館を表現するような城郭風の3階建。河川の水位より低い海抜ゼロメートル地帯における河川改修、開発の歴史やこの地独自の農業、水防の問題などについてとりあげたユニークな博物館です。

午前8時過ぎに到着すると、資料館のスタッフの手によって開梱された玩具たちが私たちの展示作業を待っていました。企画展のテーマは「世界のからくり玩具」です。「からくり」といえば、江戸時代に作られた精巧な茶運び人形や、あるいはショーウィンドーに置かれる自動制御のディスプレイドールなどを想起しますが、ここに展示するのは、アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパの各地から集まった仕掛けもからくりも大変シンプルな玩具です。「車とクランクの仕掛け玩具」「糸仕掛けのからくり玩具」「仕掛けの見えるからくり玩具」「糸とオモリのおもしろ玩具」「物体が移動するおもしろ玩具」など、機能に焦点を当てたグルーピングで、35カ国300点の伝承玩具をご紹介するものです。
仕組みが目に見え、どのような工夫で人形や動物が動いているのかを理解して初めて、子どもたちは「このおもちゃはよく考えられている!」と感嘆します。仕掛けは全てブラックボックスの中、ボタンひとつで動く玩具にただ接するだけでは、その発見の驚きは望めないのです。

玩具たちを送り出す前に展示シミュレーションしておいた写真や図面に従って、展示作業は着々と進みました。おもしろい動きをご覧頂こうと、各項目の中から代表的な作品を選んでビデオに収める作業も行いました。その様子をご紹介致します。

隣接のロビーでは、輪回しや竹馬、ケンパなどの伝承遊び体験コーナーも設けられています。そちらの準備しておられた資料館スタッフが、完成した企画展示室に入られるや否や、「わぁ!綺麗な展示になった!」と第一声。そして、「たくさんの方々に観ていただきたいです」と目を輝かせて下さいました。

準備を終え、資料館の3階の窓から外を望むと、豪雨の去った快晴の空の下、輪中は大変な雨量にも負けず、農地の稲の緑は生き生きと輝いていました。本格的な夏はもう目の前。日本玩具博物館の玩具たちは、新たなこの地でどんな出会いを果たすでしょうか。
「世界のからくり玩具展」は、来る7月25日より8月31日まで開かれています。お近くの方はぜひ、お訪ねいただきたいと思います。

(学芸員・尾崎織女)



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